東京都練馬区 黒田行政書士事務所 お問い合せは 03-5971-2773 土日OK
 sitemap
ホームに戻る 相続手続 手続代行 事 例 遺 言 後 見 単身者 離 婚


  2009.12.24 (木) 不動産の共有

親が亡くなった後、その家をどうするか。兄弟のうちの一人がそこに住んでくれれば処分する必要もなく、他の兄弟も安心です。子どもの頃暮らした家であれば、尚更そのような思いは強いでしょう。
兄弟で欲張る者もなく、住んでくれる兄弟に感謝もしつつ、法定相続に基づいて等分に共有としました。しかし、数年後、兄弟の一人がお金が必要となります。他の共有者がその持分を買えない場合は、第三者に家ごと売却せざるを得なくなるケースも考えられます。また共有者の一人が亡くなると、甥姪や孫との共有、という状態も予想されます。
共有を選択する場合は、将来このような問題が発生することも考えられますので、十分に検討してください。

TOPへ
 2009.12.14 (月) 老後の生活資金

自給自足に近い生活をしていても、現代社会に生きていればお金はかかります。40年間、国民年金に加入すると満額の年金を受け取ることができます。社会保険庁のサイトで40年加入で試算したところ、年額79万円(月額約66,000円)となりました。不足分をどうするか、が重要な問題となります。
一つの方法として、持ち家があれば、それを担保に生活資金を借りることができます。貸付限度額を超えてしまった場合、貸付は停止されますが、住み続けることはできます。→東京都社会福祉協議会・パンフレットpdf
また、個人信託として「リバースモーゲージ信託」を提供している信託会社もあります。こちらは個人で信託を設計できますので、遺言書とあわせて検討します。

TOPへ
 2009.12.2 (水) 限定承認と税金

相続を承認するが、相続人は相続によって得た積極財産の限度においてのみ、被相続人の債務及び遺贈を弁済する・・・簡単に言えば、遺産で払えるだけ相続する、という相続の形態です。
例えば、遺産が不動産(土地建物)と借金5,000万円とします。不動産が4,000万円でしか売れなくても、不足の1,000万円は相続しなくて済みます。不動産が6,000万円で売れた場合は、借金返済後の1,000万円を相続できます。
とても便利な制度のようですが、、限定承認をすると、その時点で不動産について譲渡所得税が発生します(所得税法59条1項)ので注意が必要です。譲渡所得税は、長期譲渡所得で20%、短期譲渡所得で39%の税金が課されます。
税金の支払いだけが残ると大変なことになりますので、限定承認を検討する場合は、売れる見込額を調べたうえで、税理士さんとも相談することが必要です。

TOPへ
 2009.11.25 (水) 相続人関係図

相続関係説明図、親族関係図など、用途、内容によって呼び方に違いはありますが、ある方(亡くなった方など)を中心としてその関係を表した図です。
サザエさんち
上図を基本にして、続柄、本籍地、住所、出生年月日、死亡年月日、年齢、相続により財産を受ける人、受けない人など必要な項目を記入していきます。
第三者の目に触れることもありますので、記載する情報は必要最小限にとどめておく、或いは何パターンか作成して、提出する先ごとに使い分ける等の配慮が必要です。
こちら(相続トータルサービス)にもアップしてあります。

TOPへ
 2009.11.10 (火) 長期化の原因が当事者にあった

遺産分割の話し合いがなかなかまとまらず、親戚の方からは、あいつは変わり者だ、と言われていた方に、実は軽い障害があった、という話しがあります。数年話し合っても協議がまとまらず、家庭裁判所の調停を利用。その数回目の調停で、調停員から精神鑑定の勧めがあり、その結果、その方のために後見人を選任して手続きを進めることになりました。
当事者が幼い頃からよく知っている間柄であったとしても、なかなか「後見人を付けた方がいいのではないか」という意見は言いにくいかもしれません。それ以前に、その事に気がつかないかもしれません。
第三者に間に入ってもらうことにより、冷静な判断でそのようなアドバイスを得られることもあります。

TOPへ
 2009.11.03 (火) 実子との養子縁組

改正される日も遠くないのかもしれませんが、現在の法律によれば、婚姻外で生まれた子どもの遺産相続分は、婚姻中に生まれた子どもの半分と規定されています。
例えば婚姻していないAとBの間にCが生まれ、その後AはDと婚姻、Eが生まれたが離婚。Aが亡くなればCとEが相続人になりますが、法定相続分は 1/3 : 2/3 です。
事実婚をはじめ家族観が多様化し、親子・夫婦関係も一律にくくれない時代です。時代に合わせた法律の改正が望まれるところですが、先の二人に平等に相続させるために、今打っておける手としては、その旨の遺言を残す、あるいは(自分の子である) C と養子縁組する方法が考えられます。

TOPへ
 2009.10.21 (水) 相続人が死亡した

例えば、父が亡くなった後、預貯金はすぐに相続の手続きをして払い出したが、不動産については話し合いを後回しにしていたところ、長男も死亡してしまった、とします。長男には妻と子がいます。
この場合、父名義の不動産を、誰が引き継ぐか、あるいは売却するのか、といった話し合いの場(遺産分割協議)には、亡長男の相続人として、その妻と子が参加します。なお長男が父より先に亡くなっていれば、代襲相続人として長男の子が相続人となりますので、長男の妻には相続権はありません。(遺産分割協議にも参加しません)
このように死亡した順番によって、相続人となる人が変わってくることもありますので、注意が必要です。長期放置していると、相続人の数はどんどん増えます。早めに手続きをしてしまいましょう。

TOPへ
 2009.09.28 (月) 選択的夫婦別姓と戸籍

「政府は、夫婦が別々の姓を名乗ることを認める選択的夫婦別姓を導入する方針を固めた。」とのニュースがありました。→読売新聞  
現行の夫婦同姓は、戦後の民法改正から始まっていますので、60年振りの改正となります。それ以前は「家」制度がありましたので、選択の余地はありませんでした。今回は「選択的」ということですから強制ではないようですが、婚姻届提出済みの夫婦も対象になるのか、生まれた子どもの姓はどうなるのか、戸籍はどうなるのか等、気になるところです。→戸籍制度見直し?
昔の戸籍をみると、江戸時代の生まれの方が載っていたり、戦死の記載があったりと、知らなかった先祖の姿が見えて来ます。保存期間も決まっていますので、今のうちに先祖の戸籍を取っておくと貴重な資料になるかもしれませんね。

TOPへ
 2009.09.24 (木) 一人っ子の相続

私の連れ合いも一人っ子ですが、結婚して子どももいますので、もしもの時は相続人がいます。もし仮に結婚せず独身のまま・・・あの世に行ってしまったらどうでしょうか。たぶんその頃には連れ合いの両親も(年齢的に)死亡していますので、子・親・兄弟姉妹、全ての相続人がいないことになります。相続人不存在となり、特別縁故者が名乗り出て認められれば、その方が引き継ぐ事もできます。しかし、少ない遺産では誰も名乗り出ず、彼のコツコツ貯めた預金は、長年放置された後、その金融機関の雑益となるか、あるいは誰かが手続きをして国庫に入るものと思われます。
本人がそれを望むのなら強制はできませんが、遺言を作成することにより、違う使い道も指定することができますので、おや?と思ったら考えてみて下さい。(従兄弟は相続人にはなれませんのでご注意下さい)
TOPへ
 2009.09.14 (月) 妻に全てを相続させる

よっぽど年下の夫でない限り、妻の方が長生きします。夫が亡くなった後、夫名義の財産は遺言がない場合、妻と子どもたち(あるいは親、または兄弟姉妹)で、どのように分割するか話し合わなければなりません。話し合いはスムーズにいくでしょうか。子どもの頃のような兄弟喧嘩はしないでしょうか。もし、そのような心配が少しでもあれば、「遺言」を書いておいて下さい。分ける程の財産はない、とお考えであれば、「妻に全てを相続させる」と書いておく方法もあります。
遺言書を無視することをお勧めするわけではありませんが、相続人全員で合意できれば、遺言を使わない遺産分割協議も不可能ではありません。妻に主導権があれば、遺産分割協議も上手にまとめることができるのではないかと思います。

TOPへ
 2009.09.07 (月) 預貯金の残高の記載

遺産分割協議書へ預貯金を記載する時、残高も書くのか、書くとしたらいつの時点の残高を書くのか、というお尋ねがありました。
まず、残高については書いても良し、書かなくても良し、です。金融機関名、支店名、口座種類、口座番号がきちんと書かれていれば、特定できますので、金融機関の人もその預貯金は誰が相続するのか分かります。ただ相続人の中で、誰がいくら相続した、ということを明らかに書面で残しておきたい時には書いておいて下さい。亡くなった時の残高、分割協議をした時の残高が異なっている場合は、その旨と理由もきちんと書いておけば、後日見直した時にも、分かりやすいかと思います。
実務では、分割協議書とは別に、金融機関の所定の用紙への署名捺印を求められることもありますが、その場合は、分割協議書は提出せずに、金融機関の所定の用紙だけで手続きをしてしまうことも可能です。
TOPへ
 2009.08.30 (日) 超過受益者がいる場合

民法903条に、特別受益の持ち戻しの規定があります。生前 (遺贈も含む) に亡くなった方からたくさんもらった相続人は、遺産の前渡しを受けたこととし、その分を差し引いて計算しなさい、というものです。
計算の結果、ある一人の相続人が自分の法定相続分以上に特別受益があった場合、その人の相続分はゼロになり、ケースによっては他の人の相続分が不足することもあります。その場合、その不足分について、特別受益者が自腹を切って捻出しなければいけない、という規定はなく、マイナス分は他の相続人の相続分に食い込むことになります。
誰がどれだけ負担するのか、その計算の仕方は、審判例も分かれています。
複数の推定相続人(例えば、子ども)がいる場合、親としては一人にだけ過大な援助をするのではなく、平等に、あるいは程々に、援助しておいた方がよさそうです。

TOPへ
 2009.08.22 (土) 最後の年金

もらう年金は後払いですので、8月15日に振込になった年金は、6月&7月分となります。8月分の年金は10月に振り込まれます。もしその間に亡くなってしまうと、当たり前ですが本人はもらえません。しかし、未支給年金として、一定の範囲の親族が請求することにより、支給されます。この範囲は、民法で定められている「相続人」とは異なります。また生計同一(サイフが同じ)という条件もあります。
自動的に受給してしまった(預金口座に振り込まれた)場合は、いったん社会保険庁に返還し、あらためて受給権者が請求して受給する手続きが必要となります。 →社会保険庁
なお、支給された年金は、相続財産とはなりません。請求した方の一時所得となります。

TOPへ
 2009.08.17 (月) 戸籍の不受理申出制度

戸籍の届け出には、届け出ることによって効力が生じるものがあります。婚姻や離婚、養子縁組、養子離縁などです。
勢いで離婚届けに署名捺印してしまったものの、もう一度冷静に話し合いたい!と思った場合など、提出前であれば、「離婚の届け出があっても、受け付けないで下さい」と、役所にお願いしておくことができます。(離婚届けの不受理申出) これを出しておくと、離婚届けは成立しません。
この申出は、昨年から無期限となっています。一度申出をすれば、本人が取り下げをするまで有効です。なお、郵送や委任状での手続きはできないようです。

TOPへ
 2009.08.11 (火) 仕事を辞めて介護しました・・

他の相続人以上に、亡くなった方の療養看護に努めた相続人Aがいる場合、法定相続割合で等分に分割すると、不公平感を感じることがあるかもしれません。その方がいなければ、療養看護にかかる出費が嵩み、亡くなった方の財産が減っていた可能性も考えられるからです。
そのような場合、相続人全員で協議して、Aの相続分を多くすることもできます。例えば、遺産全体の20%をAの寄与分(Aがいたから財産が残った)とし、残りを法定相続割合で分割、あるいは、看護費を1日1万円とみて計算し、残りを法定相続割合で分割する、などの分割案が考えられます。

TOPへ
 2009.08.07 (金) 離婚と相続

例えば、離婚後、実家に戻って年老いた両親と暮らしていた弟が死亡したとします。弟には高校生と中学生の子どもがいますが、別れた妻が親権を取って育てています。
この場合、弟の遺言がない限り、弟の遺産は、その子どもたち二人で全て引き継ぎます。別れた妻には相続権はありませんが、別れた妻は子どもたちの親権者として、財産の管理をすることになります。
また、妻が受取人となっていた生命保険契約。離婚の時に、受取人の変更をしていない場合、元妻が受け取ることもあります。
離婚届けを提出する時には、このような点にもご注意下さい。
TOPへ
 2009.7.30 (木) 遺言がある場合の遺産分割協議

生前に遺言書を遺しておかれても、遺言の内容によっては相続人で遺産分割協議をする必要があります。
例えば、遺言に書かれていない遺産があった場合、それについて相続人で協議しなければなりません。
また、「 Aに2/3、Bに1/3 の割合で相続させる 」 という内容の遺言であれば、遺産の総額を評価したうえで、指定された相続分の価格を算出します。A、Bが法定相続人でない場合(例えば孫)であっても、遺贈を放棄しない限り、協議に参加しなければなりません。

TOPへ
 2009.7.17 (金) 葬儀費用の支払い資金

金融機関が死亡を知ると、その方の口座からは自由に出し入れできなくなります。カードでの引き出しもできません。そのため、葬儀費用を工面するのに大変な思いをした、というのはよく聞く話で、それを恐れて、事前にお身内の一人が全て下ろしてしまう方法をアドバイスされたという方もいます。その場合、後日、他の相続人から、あらぬ疑いを掛けられることもありますので、領収証等きちんと残して管理し、いつでも説明できるようにしておくことが大事です。しかし、決してお勧めする方法ではありません。
一番お勧めしたいのは、公正証書遺言です。相続人の一人にA銀行の預金を相続させ、その中から葬儀費用を支払うように、と書いておけば、銀行の窓口に行ったその日に下ろすことができます。
遺産は相続人で自由に分割してくれればよい、だから遺言書は書かないと思っている方でも、この部分だけでも公正証書遺言にしておくと、後の方が安心です。

TOPへ
 2009.7.8 (水) ローンのついたマイホーム 離婚の場合

離婚の際、ローンのついたままのマイホームを財産分与or慰謝料として、元妻名義にする。ローンの名義もきれいサッパリ元妻に変更したいところであるが、返済能力の関係で元妻名義での借り換えは無理。仕方なく、元夫名義のローンを元妻が払い続けているのが現状。
このようにマイホームとローンを同時にもらうことを、負担付き財産分与といいます。財産分与でもらった財産には、原則として贈与税はかかりません。数年後、元妻名義で借り換えができるようになったり、あるいはマイホーム売却のため元夫名義のローンを一括返済する必要がでてくるかもしれません。「贈与」ではない、と証明できるように、離婚の時点で、負担付き財産分与の取り決めをしたことを、書面で残しておくことが重要です。
*税金については税務署または税理士さんにもご相談を

TOPへ
 2009.06.18 (木) 不動産の遺贈

「1個の不動産を、AさんとBさんCさんに遺贈します。分け方は三人で話し合って決めてください。」こんな内容の遺言書があったとします。
遺言者が亡くなったあと、三人で協議の結果、Aさん1/2、B・Cさん1/4と、話し合いがまとまったとしても、その後の相続登記は、スムーズに行かないようです。法務局に尋ねたところ、「持ち分の指定のない遺言書では登記はできません。」という回答でした。もし現実にそういう問題が発生したら、別の方向からの解決策があることもありますが、容易ではありませんし、どうしようもないケースもあります。
これから遺言書を作成するのであれば、ぜひ気をつけたい箇所です。

TOPへ
 2009.05.24 (日) 自分の相続分を譲りたい

親が亡くなり、兄妹三人が相続人となりました。長兄は、「私は何もいらないし、分割協議なんて面倒なことはしたくない。」と、思っています。では、残りの2人で遺産を半分ずつにすることに賛成かというと、そうでもありません。弟よりも妹のことが気になっているからです。自分の相続分を妹に譲渡して、自分は遺産分割から早期に抜け出したいというのが希望です。
そのために、「相続分譲渡証明書」を作成する方法もありますが、それだけでは後の具体的な手続き(特に預貯金の払い戻し)がすんなりいかないことがありますので、注意が必要です。
どんなご家族でも、遺産の分割の話し合いは楽ではありません。、通らなければいけない道とあきらめて、面倒なことはさっさと済ませてしまいましょう。

TOPへ
 2009.05.11 (月) 分割協議の申し入れ

実の兄弟であっても、お金の話しは非常に気を遣います。平等にしましょうと決まっても、Aさんだけ住宅資金の援助を受けていた、最後まで介護したのはBさん、Cさんは金銭的な援助も受けなかったけど介護の手伝いもしなかった等々、等分では平等にならない要素がたくさん出現します。譲り合えれば一番いいのですが、なかなか難しいところです。
近い身内でもそうですので、戸籍を調査して初めて相続人であることが分かったケースでは、最初の連絡がとても大事です。言葉の使い方、郵送の仕方、差出人は誰であるか、ワープロでいいのか自筆がいいのか、あるいは直接会いに行った方がいいのか・・、人によって感じ方の違いもありますし、正解があってないようなものかもしれません。
事務的に処理すれば簡単なのかもしれませんが、悩ましいです。

TOPへ
 2009.04.27 (月) 遺言書による預金の払い戻し

遺言書により、預金を相続した相続人が単独で、預金の払い戻しができるかどうか・・・、というご質問がありました。実務だけでいうと、やってみなければ分からない、というのが答えになりますが、、これまでお手伝いしたケースでは、拒否されたことはありません。(相続財産は基礎控除の範囲に収まるケースでした)
窓口に遺言書を提示すると、遺言執行人の有無を聞かれます。遺言書で指定されていなくても、利害関係者が執行人の選任を裁判所に求めているケースがあるからです。遺言執行人が選任されていれば、相続人単独で手続することはできません。
また、預金を相続人の一人に相続させる遺言書であっても、他の共同相続人の署名捺印を求めるケースもあります。共同相続人の協力が得られない場合、手続は難航します。(粘り強く交渉するか、裁判に持ち込むか・・)
遺言書が紛争のタネにならないように、知恵を絞りたいものです。

TOPへ
 2009.04.07 (火) 相続分の譲渡

相続人は自分の相続分を他の相続人(あるいは第三者)に譲り渡すこともできます。有償でも無償でも構いませんが、譲り渡す人と、譲り受ける人との間で契約書面を作成しておきます。実印で押印し、印鑑登録証明書も添付しておいて下さい。分割協議がまとまらず、裁判所の調停を利用せざるを得なくなった場合、この方法で相続分の全部を譲渡していれば、参加しなくても構いません。(脱退届けの提出は必要) また相続人の数が多い場合も、相続分の譲渡を利用することにより当事者の人数が減り、話し合いが進みやすくなる、というメリットもあるようです。
なお、相続人以外の第三者に相続分の譲渡をすると、贈与税の対象になることもあるようです。税務署や税理士さんに相談しながら、手続を進めてください。

TOPへ
 2009.03.21 (土) 年金からの天引き

数年前から法律が変わって、年金から各種税金が天引きされています。(受給している年金の種類、額によっては天引きされない場合もあります)
所得税は、一年分の税金を分割して年金から天引きしていますので、亡くなった方の準確定申告をすれば、少し税金が戻ってくることもあります。
介護保険料や健康保険料は、役所内で通知が回りますので、還付金がある場合は、相続人に連絡がいきます。死亡届を提出してから2ヶ月ほどかかるようです。それを過ぎても連絡がない場合は、還付金はないか、役所に問い合わせてみてください。
介護保険料や健康保険料の天引きは、4月・6月・8月は仮徴収、10月・12月・2月は本徴収となります。慣れないと分かりにくいです。

TOPへ
2009.03.01 (日) 「相続人です」と手紙が届いた

人生には思いがけないことが起こりますが、ある日突然、「あなたは相続人です」という連絡をもらう方もいます。全く知らない方からの連絡であれば、受け取った方も相当驚かれることと思います。場合によっては、自分の知らなかった自分や、自分の親の過去を知ることにもなるわけです。
1.被相続人に借金があり、債権者から請求。
至急調査して、必要があれば「相続放棄」をすることも可能です。
2.借金はないが財産があるので手続に協力して欲しい、という通知。
財産があろうがなかろうが、一切関わり合いたくない、と思えば、「相続放棄」あるいは、分割協議に参加して「何も相続しない」という選択をする。他の相続人としっかり話し合って結論を出したいと思えば、相続財産目録の請求・・あたりから、始めてみてください。
どれを選択するにしてもエネルギーのいることですが、しかしそれは通知した相手方も同じこと。協力しあって早期解決しましょう。
TOPへ
2009.02.24 (火) 行方不明の相続人

親子や兄弟であっても、何十年も音信不通で連絡も取っていない、ということもあります。たとえ葬儀にも参加しなかった子や兄弟であっても、相続人であれば、遺産分割の話しには参加してもらわないと、先に進むことができません。
お身内の方であれば、相続が発生したことを理由に申請すれば、現在の住民票を取得することはできます。間違いなくそこで暮らしていれば、後は話し合いだけですから問題ありません。
住民票はあるがそこに住んでいない、住民票も消除されていて全く行方が分からない・・となると、手間がかかります。失踪宣告も視野にいれつつ、不在者財産管理人の選任を申し立て、分割協議を進めることになりますが、行方不明の方の相続分はゼロ、という協議内容で裁判所がOKを出すかどうか・・・。
なお、亡くなった方が遺言書を作成していれば、前記の手間が省けることもあります。

TOPへ
 2009.02.09 (月) 遺言執行人

遺言内容によっては、遺言執行人による執行が不可欠な事項もありますが、そうでない場合も、執行人を決めておくことがあります。紛争の激化を避け、手続がスムーズに進むことが期待できるからです。
遺言書で遺言執行人が指定されている場合、まず相続人は、その指定されている執行人に、就職するかどうかの確認をしなければなりません。就職した場合、遺言書に記載されている相続財産は、執行人により管理されます。指定されている執行人が就職しない場合は、相続人全員で遺言内容を実現しなければなりません。
相続人以外への遺贈があるが、協力を得られないといった場合、遺言執行人の選任を家庭裁判所に申し立てることもできます。

TOPへ
 2009.1.25 (日) 相続の一部放棄はできません

日本列島改造論にのって買った別荘地。結局、上物は建てず、土地だけを保有して数十年。子どもたちは、あの土地は相続したくないから、今のうちに何とかしておいて、と言う。当時500万円で買った土地が、現在売却すると4万円にしかならない。××に相談したら、子どもたちが相続放棄すれば良いと言われた、とラジオから流れていました。
亡くなった人の財産を引き継ぐのが相続です。銀行の預金は引き継ぐが、、別荘地は引き継がない、ということはできません。全て引き継ぐか、全て放棄するかの選択になります。
土地を保有していると管理費や固定資産税も発生します。親の世代で解決できなければ、子どもの世代で何とかするしかないですね。

TOPへ
 2009.1.18 (日) 亡くなった方の預金の出し入れ

体が弱って一人で銀行や郵便局に行けなくなると、誰かにお願いすることになります。キャッシュカードがあれば、委任状がなくてもお金をおろすことができますので、急な入院費用やお葬式代などを引き出すときに便利かもしれません。しかし、相続人の一人がその管理をしていると、後々問題になることが大いにしてあります。遺産の分け方の相談をする時です。管理をした方は、他の相続人から疑われないように、管理の内容をしっかり記録しておいて下さい。場合によっては、成年後見人として管理することも検討が必要です。
年取った方は元気なうちに、お金の管理の仕方を子ども(推定相続人)にしっかり伝えておきましょう。必要があれば、生前の財産管理契約もできます。

TOPへ
 2009.1.10 (土) 離婚と住宅ローン

離婚した後の住宅ローン、誰がどのように返済していくか頭の痛いところだと思います。家の名義は、例えば、夫から妻に変更する、ということで合意ができていても、ローンの名義変更は簡単にいきません。
夫が払い続けてくれればいいのですが、不景気だとそうもいかず、それでは妻が夫のローンも引き受けましょう、となっても、不動産の担保価値が下がっていると、残債相当額の新たなローンは無理、ということもあります。ローンの名義変更をしないまま、不動産の名義を妻に変更するのは、夫にすれば心配なのも、よく分かります。
相続でも離婚でも、負債(借入金)の扱いは、簡単にはいかないようです。

TOPへ
 2008.12.04 (木) 相続人が誰もいない

亡くなった方の遺産は、その相続人が引き継ぐことができますが、どこを探しても、その相続人がいない、ということもあります。行方不明ではなく、民法で決められた相続人に該当する人がいないというケースです。その場合は、利害関係人がアクションを起こさないかぎり、永遠に放置に近い状態になると思われます。
一人っ子で生涯独身だった方の場合は、このケースに該当する心配があります。従兄弟がたくさんいても、遺言がない限り、遺産を引き継ぐことができないばかりか、お葬式に掛かった費用を預金から下ろすにも、大変な苦労を強いることになります。

TOPへ
 2008.11.16 (日) 私は何もいらない

亡くなった方の相続人であるが、「私は何もいらない」 という選択をする時、二つの方法があります。
一つは分割協議において、何もいらないという意思表示をし、書面を残すこと。もう一つは裁判所で相続放棄の手続きをする方法です。似ているようですが、二つには大きな違いがあります。裁判所での相続放棄の方は、相続権そのものを放棄しますので、亡くなった方の債権者(例えば、亡くなった人にお金を貸していた人)から、請求があっても「私は無関係だ!」と言い返せます。しかし、分割協議だけで、何もいらない(何も相続しない) と決めた場合は、残念ながらその主張は通りません。
借金はないのだが、相続手続きの煩雑さからも解放されたいと望む時にも、この相続放棄を利用することができます。手続き先に、相続放棄申述受理証明書を提出することにより、後の手続きに一切関わらずにすみます。

TOPへ
 2008.11.09 (日) 養子縁組

小さい子の養子縁組と違い、大人になってからの養子縁組は、戸籍の手続きが非常にややこしくなります。特に、婚姻している戸籍の筆頭者が、養子縁組をすると、その夫婦だけで新たに戸籍が編製されますので、お子さんがいる場合は、新しい戸籍に入籍させる手続きも必要になります。(別戸籍でも気にならなければ、何もしなくても構いませんが) 
養子縁組をすると、相続権も発生しますので、推定相続人が変わることもあります。戦前は夫婦はともに縁組(夫婦共同縁組の原則)しなければなりませんでしたが、現在そのような制度はありません。夫、妻それぞれ単独で縁組をすることが可能です。ただし同意は必要です。

TOPへ
 2008.11.02 (日) 養子縁組

養子縁組をすると、戸籍に記載され、実の親子と同様の権利義務が生じます。現在の戸籍であれば、養親と養子の両方の身分事項に、養子縁組をしたという事実が書かれていますが、昔の戸籍には書かれていないことがあります。(養子の方にのみ記載し、養親の方は記載しない・・・昭和45年の戸籍法の改正まで、この取扱だったようです。)そのため昔の戸籍は構成員全員の記載を注意深く確認する必要があります。
嫡出子と非嫡出子の法定相続分の差をなくすために、実の子を養子にすることもあります。養子縁組をした後、さらに別の養親と縁組(転縁組)することもあります。戸籍の筆頭者が養子縁組をした場合、夫婦で新しい戸籍が作成されますので、必要があれば子どもを同じ戸籍に入れる手続きもしなければなりません。・・・と、養子縁組はケースによってはややこしいです。

TOPへ
 2008.10.19 (日) 相続税の基礎控除

相続税法第15条に、遺産にかかる基礎控除額が規定されています。
5千万円 + 1千万円 × 法定相続人の数
亡くなった方と養子縁組をなさっていた方には、実子と同じ権利がありますので、法定相続人にもなります。しかしこの基礎控除を計算する時には、亡くなった方に実子がいれば1人、実子がいなければ2人までしか、この計算上の法定相続人の数に含めることはできません。養子の人数を増やすことにより相続税の負担軽減を図ることを制限するためです。
ただし、亡くなった方の配偶者の実子を養子(連れ子養子)にしている場合は人数の制限はなく、無条件に 「法定相続人の数」 に含めることができます。(相続税の負担軽減が目的ではない、からでしょう)

TOPへ
 2008.10.13 (月) 遺贈

遺言書により財産を贈与することを遺贈(いぞう)といいます。生前に財産をあげてしまうと贈与税の対象となりますが、遺言書により贈与すると、相続税の対象となりますので、遺産が相続税の課税価格以下であれば、相続税が課税されることもありません。(*現在の法律に基づいています。今後改正されるかもしれません。)
また、遺贈は、その財産(例えば現金とか不動産とか)を受け取る、受け取らないを、もらう方の意志に任せていますので、遺言書を書いた方が亡くなった後、受け取ることを承認することも放棄することもできます。
ただし、遺贈により他の法定相続人の遺留分を侵害した場合には、遺留分減殺請求の対象となりますので、遺言書で遺贈をお考えの方は、そこまで配慮してあげた方がいいかもしれません。

TOPへ
 2008.10.05 (日) 相続放棄申述書の提出

亡くなった方に負債が多いというケースでは、「相続権を放棄する」という手続きをすることにより、亡くなった方の借金を含む遺産とは一切関係ない、とすることができます。(何もしないでいると、自動的に法律で決められた相続人に、引き継がれます。)
この相続放棄の手続きは、熟慮期間内に亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。添付書類が色々と必要ですが、申述書に記載する内容は難しくありません。郵送での手続きも可能です。裁判所によって、添付する郵便切手の金額・枚数が異なりますので、事前に電話等で確認して郵送してください。その際は、書留にする必要はないと思いますが、最低でも配達記録はつけて、自分でも追跡できるようにしておくと安心です。

TOPへ
 2008.09.29 (月) 相続にかかる税金

親御さんが死亡して、その相続で現金を受け取るのだが、それには贈与税がかかるのでしょうか、というご質問がありました。
相続で受け取る財産に対しては、相続税が課税されますので、贈与税の対象ではありません。従って、多額の現金を受け取っても、贈与税が課税されることはありません。(贈与税の申告も不要)
なお、相続税には基礎控除がありますので、相続財産がそれ以下であれば、相続税の申告も必要ありません。ただし、基礎控除は超えるが、小規模宅地等の特例などを適用すれば、基礎控除以下となる、といった場合は申告が必要ですので、ご注意下さい。
まずは財産の概算(課税価格の合計額)を出して、基礎控除を超えるかどうか判断してみてください。

TOPへ
 2008.09.16 (火) 葬儀費用の負担

遺産分割の話し合いの中で、葬儀費用は誰が負担するのか、が問題になることがあります。法律に明確な決まりはありませんので、関係者で合意できれば、どなたが負担しても良いと思います。しかし、その話し合いがスムーズにいかないので、しばしば、遺産分割の調停などでも論点や言及点となっているようです。
裁判例の主流を占めるのは、共同相続人の負担とする立場ですが、さらに法定相続分に応じて分割負担する立場と、相続人の合意により決すべし、とに分かれています。相続人の中に、遺言で他の相続人より多額の遺産を受け継いだ方がいるような場合、法定相続分に応じた分割負担では、おもしろくないと思う方もいるかもしれませんね。そのような場合、具体的な相続割合での負担を提案・・・でしょうか。

TOPへ
 2008.08.31 (日) 生前に遺産分割協議

随分前、「父が生きている間に、父の遺産分割協議書を作成したい」と娘さんからご相談を受けたことがありました。しかし、相続発生前(父が死亡する前)の遺産分割協議は、法律上は無効です。相続財産も変動する可能性もありますし、そもそも、誰が相続人か確定していません。それを理由に丁寧にお断りしました。が、最近、生前に推定相続人の間で、協定を結んでおくことにより、相続紛争を抑制する効果があると、弁護士さんから教わりました。冒頭の相談の方が言いたかったのは、そのことだったのかもしれません・・・。分かってあげられなくて申し訳ありません。
弁護士さんが関与して、協定書を作成なさったのは、超資産家のようですが、庶民でも(感情的に嫌でなければ)利用できますね。TOPへ
 2008.08.24 (日) 遺言書の文言

遺言書の書き方については、市販の書籍もたくさん出ていますので、購入し、真似して書けば、形式は整った物が書けます。大概、「遺言書」とタイトルが付き、遺言者は次の通り遺言する・・と始まるでしょう。自由に書いて下さい、と言われるよりは、書式があった方が書きやすいに決まっています。普段使わない言葉を使って、きっと何かを参考にしながら、一生懸命に書かれたのだろうな、という雰囲気の遺言書に出会うと、故人の気持ちが重なって、切なくなることもあります。それはそれでいいのですが、自分の言葉で、自分らしい遺言書を作成しても構いません。遺言書を書くという行為は、自分の人生を振り返ることでもあります。気になることがあったら、明日と言わず、今、書きましょう。明日、気持ちが変わったら、書き直せばいいだけです。

TOPへ
 2008.08.17 (日) 順番にいかないこともあります

それぞれ配偶者も子もありとても仲の良い兄弟で、父親が亡くなった時には、年老いた母親も快諾して、長男がその遺産の全部を相続しました・・・まだまだよくあるケースです。
母親は、仏壇もお墓もその長男が護ってくれると安心していましたが、世の中は全て順番にいくとは限りません。突然長男が死亡。長男の妻は、まだ幼い子を、この先も一人で育てていくでしょうか。
長男が全てを相続する方法は、昔なら当然でした。前記のように長男が突然死亡しても、その後を相続する家督相続人も法律により決まっていましたので、家の財産が無くなる心配はありませんでした。しかし、現在はそういうわけには行きません。まずは残された配偶者が安心して生活できるように分割する必要があります。

TOPへ
 2008.08.09 (土) 兄弟姉妹の遺留分

民法1028条に遺留分の規定があり、兄弟姉妹以外の相続人には、亡くなった人から受け継ぐことのできる最低限の額が決められています。
先日、兄弟の遺留分についてお問い合せがありました。独身の方の場合、推定相続人となるのは、まず第二順位の両親等(直系尊属)、順番からいけば、相談者が亡くなる時には両親も既に他界しておられるでしょうから、その場合、第三順位の兄弟姉妹が相続人となります。
事情があって、兄弟に相続させたくないとのことでしたので、遺言を遺しておくことにより、可能であることをお話しましたが、さてそれでは、自分の財産はどうなるのか?となります。まだお若いので、これからご結婚もあるでしょうし、ご親戚などで適当な方がおられれば、その方と養子縁組をすることにより、第一順位の相続人となりますので、少しは憂いがなくなるでしょうか。

TOPへ
 2008.08.01 (金) 遺産分割協議書の契印

遺産分割協議書には決まった用紙はありませんので、A4でもA3でも、便せんでも、レポート用紙でも構いません。協議の内容によっては、記載事項が多くなり、一枚で収まりきれないことがあります。協議書が複数枚になったら、全体をホチキスで留めた後、見開きに当事者全員で契印(割り印)をして下さい。更にページ数が多くなると、契印をするだけでも大変になりますので、市販の製本テープ(契印のできるタイプのもの)などで、袋とじにすれば、閉じた部分と本体に契印をすれば足ります。
割り印の図

TOPへ
 2008.07.20 (日) 亡くなった方の住民税

住民税は1月1日に住所のある市区町村において、前年中の所得に対して計算されます。
今年になって亡くなられた方でも、住民税が課税される方には、6月に納税通知が届いています。平成19年1月から12月までの所得により計算された住民税です。相続放棄をしないかぎり、相続人が支払う必要があります。遺産分割協議の際は、亡くなった方の債務として計上します。
各期に分割で支払う場合、代表相続人の口座からの自動振替で支払うこともできます。
なお、今年に入って亡くなるまでの所得に対しては、来年の1月1日において住所はありませんから、住民税は課税されません。

TOPへ
 2008.07.11 (金) 第一順位の相続人

子は第一順位で親の相続人となります。
婚姻外で生まれた子でも、実子であれば相続人となります。その場合、認知されていれば、第三者に相続人として認めてもらうことに問題は発生しませんが、認知されていない場合、まず認知の届出が必要です。(遺言書により、認知をすることもできます。)
結婚相手の連れ子さんと養子縁組をするのも、よくあるケースです。養子縁組により、実の親子と同じ権利義務が生じますので、養子縁組の日から、お互いの相続人になります。
もしその後、離婚する場合は、連れ子さんとの養子縁組についても検討しておく必要があります。

TOPへ
 2008.07.05 (土) 遺言

昨夜、テレビで 「遺言のススメ」 というのをやっていました。遺言を書いておいてくれて良かったわ〜、というお話、心温まるお話もあり感動なさった方もいるかもしれません。
たしかに、ケースによっては病気の特効薬のように効く遺言書もあります。そういうしっかりした遺言書を作成しておかれた方は、生前にその必要性をご自分で自覚しておられた方です。その遺言に付言(後書きのようなもの)はありませんでしたが、その遺言の存在自体に、遺された配偶者・家族への愛情を感じたことを覚えています。
歩いてきた人生、家族の歴史により遺言の必要な方がいるのは確かです。まずは遺言が必要かどうか、ご自身で考えてみてください。

TOPへ
 2008.06.29 (日) 行方の分からない相続人

高齢の方が亡くなり、そのご兄弟が相続人となるケースで、時々、日本国籍を離脱して海外の国籍を取得した相続人がいらっしゃることがあります。
ご親族の方全員で海外に渡っておられる戸籍の記載から、当時、政府の奨励していた移民で海外に行かれたものと推測されます。
何しろ古い話です。相続人だから連絡を、と言われても、その存在さえ戸籍を調査してはじめて分かったような状況ですから、連絡の取りようもありません。
まずは色々と手を尽くして調査してみるしかないですが、それでも分からなければ、不在者財産管理人を選任して・・・という手続きも検討する必要があります・・・ このように非常に手続きが困難になりますので、そのようなおそれがある方は、ぜひ遺言書を作成しておいて下さい。

TOPへ
 2008.06.20 (金) 金銭支払いの契約書

公正証書で契約書を作成する時、強制執行認諾約款を付けるケースがあります。「私が約束を守らない時(例えば子の養育費を支払わない時)には、ただちに強制執行して構いません。」という意味です。強制執行とは、国の権力によって強制的に相手の財産を差し押さえて、支払いを実行させる制度です。支払いを受ける側は、この一文があれば更に安心であり、公正証書で契約書を作成する大きな意味もそこにあります。しかし、如何せん、強制執行が可能であっても、いざその状態になった時、相手に財産が無い場合、どうしようもありません。無い袖は振れぬ、ある意味相手は天下無敵です。
契約書を作成する時には、相手の職業、経済状態、将来のリスク等、色々と考慮して二重三重にガードしておくことも必要です。

TOPへ
 2008.06.12 (木) 配偶者の連れ子

子は第1順位の相続人です。養子は、養子縁組の日から実子と同じ権利義務が発生しますので、亡くなった時に養子縁組をしている子がいれば、その子も相続人となります。
結婚相手が再婚で子ども(連れ子さん)がいる場合、夫婦はお互いに配偶者相続人となりますが、子どもは養子縁組をしない限り、実親の相続人にしかなりません。養子縁組をすれば、養子 & 養親、という関係になりますが、何もしないでいると、配偶者の子 & 父(または母)の配偶者、という関係でしかありません。
赤ん坊の頃から実の子同様に育てていても、養子縁組の届けを出していなかったばかりに、全く相続できない、という状態になる可能性もありますので気をつけてください。

TOPへ
 2008.06.03 (火) 遺産分割協議書

相続人の皆様で合意すれば、口約束だけでも構いませんが、お金が絡むこととなると、なかなかそうはいきません。故人の形見分けと違って、預貯金や不動産の名義変更・払戻は、第三者も関与しますので、そのために協議の結果を書面(遺産分割協議書等)にする必要があります。そのような書面がない場合、金融機関は所定の書類に署名捺印を求めます。(* あっても預貯金の特定ができない等の理由で、所定の書類にも署名捺印を求められる場合もあります。)
故人の遺産内容を、関係のない所には公表したくない時は、原本を抜粋して再作成する方法もあります。代償金のやり取り等、相続人間の細かい取り決めについては、原本の方に書いておかれればよいのではないでしょうか。

TOPへ
 2008.05.28 (水) 配偶者相続人

既に亡くなっていれば、相続権は発生しませんが、亡くなった方の配偶者は常に相続人となります。
亡くなった方が日本人であれば、その配偶者が日本国籍を持っているかどうかは関係ありません。婚姻届けを出しているかどうかです。国籍が日本でない方には、日本の戸籍はありませんので、亡くなった方の戸籍を確認して、身分事項に、いつ、どこの国の誰と婚姻した、と書かれていれば、配偶者相続人となります。
また何度も書いていますが、内縁関係では相続できません。内縁であっても遺族年金は受給できますので、勘違いなさる方も多いようですが、内縁のままでは相続人になれませんので、財産(土地や家屋など)を遺してやりたいとお考えであれば、遺言を作成してください。

TOPへ
 2008.05.21 (水) 相続人

相続する権利があるかどうかは、全て戸籍で決まります。本当の親子であっても、他人の子として届出てあれば、相続人となりませんので、戸籍の訂正をして、戸籍上も実の親子として記載する必要があります。
婚姻や分籍などで親の戸籍から抜けたお子様は、亡くなった方の戸籍を昔に遡れば、記載が出てきます。親の再婚相手等と養子縁組をなさった方も同様です。
ごく希なケースですが、推定相続人の廃除という手続きもあります。これは生前に被相続人自身が家庭裁判所に請求し、認められればその事実が推定相続人の戸籍に記載されています。(遺言による推定相続人の廃除も可能)
このように、遺言がない場合、相続人になるかどうかは、全て戸籍の記載によります。

TOPへ
 2008.05.10 (土) 身近で世話をしていたのだが

ある人が亡くなって、相続人を調査したら、会った事もない人たちが相続人であることが分かった・・・というケースがあります。一番身近にいて、身の回りの世話までしてきた人が、一銭も相続できないのに、会った事もない人たちが、法律に従って相続人となります。そうなったら、死人に口なし、あの世から自分の考えを伝えることはできません。
遺言はなかったのですか? と質問すると、決まって 「突然亡くなったので・・・」 という答えが返って来ます。法定相続人が全員相続放棄をすれば、相続人が誰もいない状態になりますので、そこから特別縁故者として申立することも考えられますが、協力は期待できません。
一番いい方法は 「元気なうちに」 遺言を作成しておくことです。

TOPへ
 2008. 05.03 (土) 本人確認書類

この5月1日から、改正された住民基本台帳法および戸籍法が施行され、本人確認が従来より厳しく行われています。不正や虚偽による事故を未然に防ぐためです。
役所の窓口や郵送で証明の発行申請をする際に、本人確認書類も提示します。 運転免許証は、官公署発行で顔写真付き、現住所の記載ありですから、本人確認書類としては、最強のものです。パスポートは写真があっても、住所の記載がありませんから、一点では確認書類としては不足します。その場合、保険証等も同時に提出する必要があります。保険証には写真がありませんから、これだけではダメで、他の物(写真がないものでも可)を組み合わせる必要があるようです。
郵送請求の際は、本人確認書類をコピーして添付します。
法務省・改正戸籍法パンフレット

TOPへ
 2008. 04.24 (木) 離婚と財産分与(離婚給付)

婚姻期間中に築いた財産は、離婚の時に清算します。専業主婦、パート主婦の方であれば、夫名義の不動産、預貯金、退職金、年金もその計算の根拠に入れて請求して良いと思います。共働きで、同じくらいの収入があり、婚姻費も折半、不動産の持分も均等というようなカップルであれば、婚姻期間中の財産の清算という意味では、やりとりする額は少なくなるかもしれません。ただ、財産分与には、離婚した後、生活に困る相手の扶養的要素も含まれますので、その部分も請求できますし、離婚原因によっては慰謝料は別に請求することもできます。また、離婚自体慰謝料という考えもありますので、全てまとめて解決金でという選択もできます。話し合いが必要です。
二人で合意できれば、離婚後数年経っていても、財産分与は可能です。

TOPへ
 2008. 04.15 (火) 子どものいないご夫婦

立て続けに、子どものいないご夫婦の法定相続人となる方は?というご質問をいただきました。
Yahoo!知恵袋や、OKWaveなどの相続関連の質問に対する回答を見ていても誤解している方が少なくないようですが、子どものいないご夫婦の場合、亡くなった方の親兄弟も相続人になります。生存配偶者と一緒に、相続権をもつ人が民法で規定されており、親御さんが生きていればその方、既に死亡していれば兄弟姉妹が相続人となります。
配偶者のみが法定相続人となるのは、亡くなった方が一人っ子で、異父母兄弟も存在せず、親御さんも既に亡くなっている場合です。
なお、親御さんが相続人となった場合、親御さんのうちどちらかが既に亡くなっていても、代襲相続は発生しません。
戦前のお生まれの方は、ご兄弟も多く、兄弟姉妹が相続人となる相続が発生すると、難儀しますので、ぜひ対策を講じておいて下さい。

TOPへ
 2008. 04.08 (火) 遺言による信託

信託銀行さんに、遺言信託という商品があります。これは、遺言書の作成から管理、死後の遺言の執行までを扱うものですが、80年振りの信託法の改正に伴い、それとは全く違う、遺言による信託が注目されています。
例えば、遺言書があっても、相続人全員の同意があれば、遺言とは異なる遺産分割が可能です。しかし、それでは遺言書を作成した方の意思が尊重されないこともあります。そのような時に、この信託を使って取り決めておけば、確実に遺言者の意思どおりに事が進むと思われます。またこの信託法を使って、後見契約とは違った視点からの老後の財産管理、事業継承なども可能なようです。
任意後見契約や遺言書作成をお考えの時には、検討してみる余地があります。財産の多寡に関係なく利用できるといいのですが、まだまだ信託銀行さんの敷居は高いです。

TOPへ
 2008. 04.01 (火) 相続放棄

相続放棄の申述書には、相続放棄の理由として、
1.被相続人から生前に贈与を受けている
2.生活が安定している
3.遺産が少ない
4.遺産を分散させたくない
5.債務超過のため
6.その他・・(理由を書く)
以上の選択肢があらかじめ印刷されています。1〜4は、分割協議でも同じような効果が得られますから、放棄後のことはそんなに心配しません。しかし、5の理由で相続放棄をする時には、期間内に単純承認となるような行為をしないように慎重に行動してください、と申し上げると、○○を支払っていいだろうか、○○を処分していいだろうか・・・と相続人の方の悩みは尽きません。「何かあったら訴訟に持ち込みます」 という弁護士さんが心強く思える瞬間です。

TOPへ
 2008. 03.22 (土) 円満な相続手続きのスタート

「父が元気な頃は家にも寄りつかなかった長男が、父が亡くなった途端に家に戻って来て、『俺がモシュ、モシュ』 と言いながら、勝手に取り仕切っている。」 長男はよかれと思ってやった事でも、それまで疎遠にしていた弟妹たちからすれば、目的は遺産だろう・・となってしまっています。
人が亡くなると、お通夜からお葬式までの段取りを、短い時間で決定しなければなりません。家族内でリーダーとなる方は、独断せず、家族(法定相続人)の意見をよく聴いて様々なことを決定していくことが、円満な相続手続きのスタートに繋がるのではないでしょうか。
遺産分割のお話し合いの場に同席させていただくことがありますが、お通夜やお葬式も、兄弟全員で話し合ってやって来られたご家族は、分割協議もスムーズです。スタートから揉めてしまったケースでは、法定相続には同意していても、感情的になってしまい、絶対に印鑑は押さない、という方もいます。

TOPへ
 2008. 03.16 (日) 第3号被保険者期間

第3号被保険者とは、厚生年金・共済組合の加入者(第2号被保険者)に扶養されている配偶者です。会社員の夫を持つ専業主婦の方はこれに該当し、国民年金に加入している状態です。
離婚に伴う厚生年金の分割が昨年の4月から始まりましたが、今年の4月1日から、この第3号被保険者期間は、(請求により)夫の厚生年金の納付記録が自動的に 1/2 に分割されます。ただし、過去の分は該当しません。過去の分も分割対象にするには、二人で案分割合を合意し、公正証書を作成する必要があります。分割を受けた人は、将来、増えた納付記録に応じた厚生年金を受給することができます。
自分自身の納付記録が増えるので、離婚した後、元夫が亡くなっても影響はありません。離婚協議書を作成する際には、ご留意下さい。

TOPへ
 2008. 03.09 (日) 安心して子育てするための遺言

遺言というと高齢者のイメージがありますが、若い方でも遺言を作成して、「安心」なさる方もいます。
例えば、未成年の子を持つご夫婦。夫婦の片方が亡くなった場合、残った配偶者は自分の未成年の子と遺産分割協議をしなければなりません。未成年者の法律行為は制限されていますから、遺産分割協議をする時には、特別代理人の選任を、家庭裁判所に申立なければなりません。遺言があればその煩わしさが軽減されます。不幸にも、未成年の子を残して配偶者に先立たれた方は、その子のために「未成年後見人」を遺言で指定しておくこともできます。
このように、安心して子育てするために遺言が役に立つこともあります。

TOPへ
 2008. 03.03 (月) 戸籍の届出

出生届け、婚姻届け、離婚届け、死亡届け等、戸籍の届出は色々ありますが、人生は届出、それを最初に意識するのは、婚姻届けでしょうか。今日は 3月3日、友引・ひな祭り、で二人の末永い幸せを届け出るには絶好の日でした。また先週の金曜日 29日は大安で、しかも四年に一度の閏年でしたので、これも縁起の良い日とされたようです。戸籍の届出の件数も普段よりも多く後の事務処理にも日数がかかる、と職員の方が話しておられました。
自分のことを振り返ると・・・全く意識しないで届出をしました。結婚記念日は覚えていても、届出をした日なんて、何となくしか覚えてません。子どもの出生届けもコピーしなかったし。婚姻届も出生届けも、コピーしておくと、記念になります。( 孫の時にはぜひ、と思っています )

TOPへ
 2008. 2.26 (火) 成年後見

時々、営業の電話があります。今朝は「成年後見人の不動産売却のお手伝いをします」 と都内の不動産会社の方からでした。
不動産の売却をしなければならない事態になった時、その所有者が認知症等で的確な判断ができないおそれがあれば、身近な方は、その所有者のために後見開始の申立をして、成年後見人を付けてあげなければなりません。本人が悪徳○○に騙されても困りますし、取引の相手方も、後から「・・そんなの覚えていない・・」 なんて言われても困りますから、そのために本人に代わって、本人のために契約などの法律行為をする人が必要になります。それが成年後見人です。
不動産の売却だけでなく、不動産を担保に借入をする、預貯金の払い戻し、遺産分割協議などでも成年後見人が必要になる場面があります。

TOPへ
 2008. 2.20 (水) 内容証明郵便

遺留分の減殺請求のために内容証明郵便を書いているのだが、金額は漢数字で書く必要があるのか、とご質問をいただきました。
内容証明郵便には、相手方にどのような内容の信書をいつ出したかを証明できる、証拠保全的な機能があります。質問された方は、「受け取った相手が数字を変造してしまう」 ことを心配しておられましたが、大丈夫です。どのような数字で書こうと、出した時の状態の物が、郵便局に謄本として保管されていますので、何かあったら見せてもらうことができます。 詳しくは → JP内容証明のQ&A
数年前から電子内容証明というサービスもできています。手数料も、事業所の窓口に差し出すよりも安いので、たくさん出す業者の方は利用されているようです。

TOPへ
 2008. 2. 17 (日) 遺言を公正証書にする

予約した日時に公証役場に行きます。必要書類は事前に提出してあるはずですから、当日は実印を忘れずにお持ち下さい。
遺言者、立会人(証人)、公証人が揃ったら、いよいよ作成開始です。公証人が公正証書遺言を読み上げますので、遺言者と立会人は、正本または謄本を見ながら、間違いないことを確認します。途中、表現が難しいところは、公証人が解説してくれますので、自分の意思通りで間違いないか、充分に確認してください。全ての確認が終わったら、遺言者、立会人の順番で公正証書遺言に署名捺印し完成です。
完成した公正証書遺言は、公証役場に保管されます。遺言執行は、正本で行われますので、ご自宅や銀行の貸金庫などで大事に保管しておいて下さい。そして、身近な方には、「遺言書を作成した」ことを話しておいて下さい。

TOPへ
 2008. 2. 12 (火) 遺言を公正証書にする

公正証書の草案(下書きの文案)ができたら、公証人から連絡があります。その草案は、「平成20年第××号 遺言公正証書 本職は、遺言者○○の嘱託により、証人△△、同▲▲立会いのもとに、遺言者の口述を筆記してこの証書を作成する。」 と、始まります。それ以下の本文が、事前に打ち合わせをした内容に間違いないことを確認して下さい。
事前チェックが終われば、いよいよ作成です。遺言者と公証人、遺言作成の証人(立会人)の都合を合わせて、日取りを決めます。
公証役場への支払いは、作成日当日に現金支払いとなりますので、費用も事前に聞いておきましょう。

TOPへ
 2008. 2. 6 (水) 遺言を公正証書にする

作成のための必要書類が揃ったら、作成した遺言書の下書きを持って、公証役場に行きます。公証役場は、遺言書だけでなく、離婚協議書の作成、任意後見契約書の作成、会社の定款認証、確定日付の付与など、様々な要件の人が訪れますので、電話で確認し予約してから行かれると良いでしょう。たぶん一回目は相談だけになると思います。公証人から不足の書類の提出依頼があったり、内容の再検討の提案もあるかもしれません。
遺言を作成なさる方は、いろんな思い(目的)をお持ちです。ともすれば、ご本人よりもお身内の方が心配なさって、遺言作成を懇願するケースもあります。そのような場合は、遺言作成よりも、現在できることをやっておくほうが、効果があることもあります。

TOPへ
 2008. 1. 30 (水) 遺言を書く準備 5

自筆証書遺言であれば、遺留分への配慮、財産の仕分けが決まれば、その場で書くことができます。注意しなければいけないのは、文字の訂正や書いた遺言書に内容を追加する時の方法です。訂正や追加の方法にも決まりがありますので、それに従わないと、遺言書が無効になる可能性があります。追加や訂正をする場合は、全文を書き直した方が無難でしょう。
公正証書にする場合は、公証人が正確にワープロで作成してくれますので、訂正や追加については心配は不要です。なお、正確さを期するために、遺言を作成する人からの申告とともに、財産を疎明する物を求められることもあります。例えば口座の特定のために、預金通帳のコピー、不動産の特定のために登記簿謄本等です。
公証役場に行く前に、そのような書類も準備する必要があります。

TOPへ
 2008. 1. 24 (木) 遺言を書く準備 4 

相続人の中には「遺留分」という侵害されない相続分を持った人がいます。配偶者と、第1順位・第2順位の相続人です。
例えば、親不孝ばかりしている子には、一銭も相続させないという遺言を遺しても、その子には法律で保護された遺留分がありますので、その子が自分の遺留分を請求して来たら、他の相続人は支払わなければなりません。また、自分の相続分がこの遺留分を下回っている場合その相続人は、他の相続人に対して不足分を請求することができます。
このように遺留分に配慮しないで遺言を作成すると、相続人間で「揉める原因」を作ることにもなるかも?しれません。
なお、本当に心から一銭も相続させたくない、と思うのであれば、相続人から廃除することを裁判所に請求することはできます。(遺言書でも可能)

TOPへ
 2008. 1. 16 (水) 遺言を書く準備 3
 
推定相続人が誰になるのか分かったら、次は自分の財産のリストアップをしましょう。市場価値のある物は全て相続財産となります。死亡保険に加入している場合はその保険金も入れてください。
この作業をするとたぶん、相続税は?と思われることでしょう。概算で現行の相続税法による基礎控除額を超えるような場合は、相続税対策もやっておいて損はないでしょう。
推定相続人も分かって、財産のリストアップができたら、次は配分の仕方を考えます。分配の仕方は遺言者の考えしだいですが、「遺留分」のある相続人もいますので、それに対する配慮が必要です。
TOPへ
 2008. 1. 11 (金) 遺言を書く準備 2
 
遺言がない場合、自分の財産は誰にどう分配されるのか。
亡くなった方の財産を引き継ぐことができる人は、法律により決まっています。戦前と現在では異なります。ご高齢の方の中には、まだまだ戦前の家制度の感覚をお持ちで、長男が全て相続すると思いこんでいらっしゃる方もいますので、ご家族の方はぜひ話してあげて下さい。
今の段階で、引き継ぐ権利のある人を推定相続人といいます。配偶者(お連れ合い)は常に相続人となりますが、その他に
1.お子様 2.ご両親または祖父母 3.兄弟姉妹
の順位で配偶者と一緒に相続人となります。お子様がいれば、2.3.に相続権が移ることはありません。

TOPへ
 2008. 1. 4 (金) 遺言を書く準備

自分の財産を自分の死後、どのように仕分け(処分)するか決めておくのが遺言です。遺言がない場合は、法律で定められた方法で分配されます。
ですからまず、遺言を残さない時には、自分の財産は誰にどのように分配される可能性があるのか知っておくことが大事です。よく遺言を書く程の財産はない、という話を聞きますが、遺言が必要かどうかは財産の多寡ではありません。高齢の方であれば、人生の「まとめ」の方法の一つが遺言です。遺言を書かなくても「まとめ」ができる方もいますが、書く必要がある方もいます。法律により15歳以上であれば、遺言を書く能力が認められています。15歳を過ぎたら自分の人生に責任を持ちなさい、ということです。
まず、自分の財産はどう分配されるのか、調べてみましょう

TOPへ
 2007.12.26 (水) 毎年、遺産分割協議

争いを未然に防ぎたいという思いで、遺言を残しても、揉めるときは揉めます。相続人全員の同意を得ないまま、遺言を執行することもできますが、そうなると、次の相続でリベンジ!と燃えてしまう方もいるようです。
争いが発生し協議が調わないときは、裁判所の調停を利用することもできますが、近い身内の方だけがご相続人であれば、なるべく話し合いだけで解決したいと思っておられる方がほとんどだと思います。
遺言をする方は、「分割協議が調わない時に、この遺言を利用しなさい」 という余裕ある立場で書いておかれてもよいのかもしれません。そのために、毎年、相続人全員による分割協議案を作成をさせる、のも一つの方法です。
なお、お子様のいないご夫婦の場合は、必ずお互いに遺言を書いてください。あまり年を取ってくると、考えるのが億劫になりますから、若いうちに書いておいてくださいね。

TOPへ
 2007.12.13 (木) 自筆証書遺言

全文を自筆で書いて日付を入れ署名捺印すれば、外形的には有効な遺言書となり得ます。カレンダーの裏に書いてあってもOKです。
しかし、実際に使う時に有効な遺言となるかどうか・・。加除訂正の方法が民法に定めてある通りになされてなかったら無効となりますし、何が書いてあるか分からなかったら執行のしようもありません。また遺言書を書いた時点での、本人の意思能力もおおいに関係します。本人の意思できちんと書いたことを後々立証しやすいように、書く時の写真を撮っておくとか、その前後の元気な様子を写真に撮っておくとかといった話しも聞いたことがあります。
なんかでも、そこまでやる?という感じもしますね。

TOPへ
 2007.12.04 (火) 継親子

現在の法律では、父の連れ子(太郎)は、父(一郎)の配偶者(花子)との関係においては一親等の姻族でしかありませんので、太郎君は花子さんと養子縁組をしない限り、花子さんの相続人とはなりません。
家制度があった戦前は、一郎さんが戸主であれば、後妻である花子さんと太郎君の間に継親子関係が発生し、実の親子と同一の親族関係があるものとして取り扱われました。特別な手続きは必要なく、花子さんの遺産相続の相続人となることもできました。
しかし、その制度は、戦後、民法の応急措置法の施行により消滅しました。戦後も太郎君と花子さんが実の親子同然に生活していても、養子縁組の届けを出していないかぎり、太郎君は花子さんの相続人にはなりません。
年に何度かそのような内容の問い合わせがあります。お気の毒ですが、今の法律ではどうしようもありません。身近にご高齢の方がおられたら、念のため、一度確認しておかれた方が良いかもしれません

TOPへ
 2007.11.28 (水) 受給していた年金の手続き

ご主人が亡くなった場合、奥様の生活があるので、早い段階で受給していた年金の停止や遺族年金の請求の手続きをなさるようです。
逆だとついうっかり、亡くなった後も受け取ってしまっていたというケースがあります。ご夫婦によっては、ご主人が奥様の年金のことを把握していないというのは、そう珍しいことでもありません。死亡届を提出した際、役所からその手続きも早めにするように、とのアドバイスもありますが、葬儀屋さんが死亡届の提出を代行したような場合、うまく伝わらないこともあるようです。
当たり前ですが、もらう権利のない年金を受け取っていたら、相続人が返還しなければなりません。
今のところ、役所に死亡届けを出しても、社会保険事務所には連絡が行かないようですので、届けを出さないかぎり年金は振り込まれます。後から返還するのは精神的にも大変ですから、ご親族が気を付けてアドバイスしてあげてください。

TOPへ
 2007.11.19 (月) 遺言書での預金の払い戻し

全財産を妻に相続させる、という内容の公正証書遺言があったが、金融機関に行ったら、被相続人の出生からの戸籍を集めて相続人全員の署名捺印をもらって来てください、と言われたという話を聞きました。さらによく聞くと、そういうのはA銀行で、B銀行は遺言書と被相続人が亡くなったことの記載のある戸籍謄本だけで手続きをしますと言われた、と。
上記の方の場合、亡くなった方に前婚のお子さんがいます。疎遠にしていても、実子ですから遺留分があります。
金融機関もトラブルに巻き込まれたくないのが本音ですので、相続人間の内部事情を確認することがあります。金融機関と相続人、互いの立場を認め合って誠実に解決する姿勢で臨んだ方が、手続きが円滑に行くように思います。

TOPへ
 2007.11.11 (日) 受遺者の死亡

「遺言書に書かれた相続人が亡くなっている」 というフレーズで検索がありました。想像するに、父親が亡くなった後、遺言書を開封したら長男Aに不動産Bを相続させる、と書いてあった。しかし、長男Aは父親より先に死亡していた、というようなケースでしょうか。
この場合、長男Aは既に死亡していますので、この部分は遺言の効力は発生しません。長男Aに子どもがいれば、自動的にその子に相続させたい気がしますが、直接は無理です。長男Aが受け取るはずだった不動産Bについては、相続人全員で、誰が相続するのか協議して決定する必要があります。その協議には代襲相続人としてAの子も参加しますので、遺言者の意思を汲みながら話し合いをする必要があります。
なお、長男に子がなく配偶者しかいない場合は、その配偶者には、相続によりその不動産Bを取得する手段はありません。
遺言を書かれた方は、時々、遺言の内容を見直してみてください。

TOPへ
 2007.11.6 (火) 公正証書による遺言

自分で作成した遺言(下書き)を持って、公証役場に行くと、公正証書として作成してもらえます。
その時に自分が書いた文章がそのまま公正証書になるかというと、そうでもない場合が多いようです。公正証書にするにあたっては、遺言の内容について公証人の先生から色々とアドバイスがありますし、あまりに偏った内容の遺言であれば、それ自体が争いの火種になることもある・・・と、注意を受けます。
公正証書になると文章が難解になることがあります。たとえば、「○○を遺贈するので、××の費用を支払ってください。」 という内容は、「○○を遺贈する負担として、××の費用等を支払わなければならない。」 、また遺言の執行の時に困らないように、特定遺贈であっても、受遺者が亡くなっていたら・・という想定も加えられたりします。
いずれにしても、遺言の実現(執行)まで考慮して作成してくださいますので、ご安心を・・。

TOPへ
 2007.10.30 (火) 認知した子

婚姻届けを提出しないカップルに生まれたお子さんは、パパが認知届を提出すれば、パパが亡くなった時に遺産を相続することができます。認知していれば、子どもとパパの戸籍の双方に、認知事項に関する記載がありますのですぐわかります。
これが戦前の戸籍であれば、戸主の同意がない場合、パパの戸籍には認知事項は記載されず、異戸籍にある子どもの戸籍の身分事項にのみ記載されている、というケースもあります。 この場合、パパの戸籍を出生まで遡っても、認知した子の存在は確認できませんので、子どもの側から相続人であることを主張する必要があります。
なお現在の戸籍であっても、認知者(パパ)の戸籍に記載された 「どこの誰を認知しました」 という記載は、戸籍が作り替えられると、新しい戸籍には移記されません。

TOPへ
 2007.10.20 (土) 自筆証書遺言での相続登記

亡くなった方が自筆証書遺言を残しておられたら、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。相続人全員が呼ばれて、内容が披露され、検認済みのハンコをもらっても、その遺言書で相続手続が全てできるかといえば・・・分かりません。
よく聞くのは不動産の相続登記です。理由は様々ですが法務局から、この遺言書ではダメだといわれることがあるようです。その場合、遺言内容を尊重しながら相続人で遺産分割協議をして、不動産を特定の人に相続させるしかありません。それでも相続人全員で合意できれば、まだ良いほうで、行方不明の相続人がいたり、遺言に反対の相続人がいたら、遺言の意味もなくなってしまいます。
遺言を書く前に、推定相続人の調査、登記簿の確認を必ず行ってください。

TOPへ
 2007.10.17 (水) 相続税かかるかも?

相続税の納付が必要な相続は全体の4〜5%といわれています。
ある税理士さんは、あくまでも自分の勘ですがと断りつつ、100家族の相続があるとすると、50家族は全く相続税の心配はないが、残りの50家族は相続税の納付が必要であるか、その必要がないことを確認する必要がある、とのことでした。
ご存知のように相続税には、5,000万円+法定相続人の数×1,000万円の基礎控除があります。亡くなった方の財産を棚卸しして、概算で微妙なラインであれば、早いうちに税務署や税理士さんに相談して下さい。相続税の納期限は、その方が亡くなってから10ヶ月です。10ヶ月の間に遺産分割協議が調わないと、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の特例などを適用できない申告になりますのでご注意ください。(3年以内であれば、修正申告や更正の請求ができます。)

TOPへ
 2007.10.8 (月) 遺贈

遺言による財産の贈与を遺贈(いぞう)といいます。
遺言に、「内縁の妻に遺産の1/2を与える。」と書けば、包括遺贈となり、内縁の妻は相続人と同じ権利義務を有することになります。(民法990)
相続人と異なるのは、遺留分がないこと、遺言を書いた人よりも先に亡くなった場合、代襲相続は認められないこと等です。
また、「金100円を黒田清美に与える。」と書いてあれば、特定遺贈となります。包括遺贈の場合は、相続人と同一の権利義務が生じるので遺贈の放棄はできませんが、特定遺贈の場合は、遺言の効力が発生した後は、いつでもその遺贈を放棄する(要らないと言う)ことができます。方式については定めがありませんので、口頭でも構いません。
*包括遺贈の場合は相続放棄をすることにより、相続人から外れることができます。

TOPへ
 2007.10.02 (火) 遺留分の取り戻し

遺留分減殺の意思表示を行うと、観念的には、目的物はただちに減殺者に復帰すると解されています。それを現実に取り戻すには手続が必要です。
一番柔軟に対応できるのは、遺産分割協議です。遺贈は受贈者において放棄することもできますし、遺言があっても相続人全員が合意すれば、遺言による分割を解除し、新たに遺産分割をやり直すこともできるという判例もありますので、分割協議の中で遺留分に相当する財産を取り戻せば良いことになります。家裁の調停を利用することもできますが、参加する当事者の範囲、対象となる遺産の範囲で調停の形態が異なります。(遺留分減殺請求調停・遺産分割調停・遺産に関する紛争調整調停)
合意が成立しない場合、遺留分減殺請求の最終的な行使は民事訴訟になります。

TOPへ
 2007.9.25 (火) 遺留分減殺請求の意思表示の相手方

計算した結果、自分の相続分が遺留分の額に達しない時には、遺留分の侵害があることになりますから、遺留分減殺請求権が成立します。
では、誰に請求すればよいのでしょうか。原則として、受遺者、受贈者など直接に利益を受けた人になります。
包括遺贈の場合は、遺言執行者を減殺請求の相手方とすることができるという判例があります。また特定遺贈の場合であっても、、遺言執行者に請求できるというのも通説です。
遺言執行者がいる場合には、受遺者、受贈者だけでなく、遺言執行者に対しても減殺請求の意思表示をしておいてください。

TOPへ
 2007.9.17 (月) 遺留分と減殺請求

兄弟姉妹以外の相続人には遺留分(相続人である限り、誰が何と言おうと必ず相続できる一定の割合)がありますので、遺言を書いておこうと思われる方はこの割合に配慮しておくと、残された方は安心かもしれません。公証人の関与する公正証書遺言の場合、あまりに偏った内容の遺言であれば、配慮するようにとのアドバイスもあるようです。
一銭も渡したくない親不孝の子であっても、相続人の廃除が認められない限り、この遺留分があります。しかし、この権利は本人が請求することよって初めて効力が発生しますので、子が親の遺言に納得して、請求しなければ、時効により消滅します。
この請求がなされれば、遺留分権利者と受遺者または受贈者とが、対象財産を共有することとなります。請求は口頭でも構いませんが、文書で通知しておく方が無難です。

TOPへ
 2007.9.9 (日) 成年後見

成年後見開始の申立てを考える時、必ず動機となった問題があります。
東京家裁後見センターの資料によると、一番多いのが、金融機関からの指示、次に親族の死亡に伴う遺産分割協議、死亡保険金受取り、相続放棄と続き、親族間に紛争がある例も少なくないようです。
金融機関の本人確認の強化、来月からは郵便局も民営化されますが、それに伴って、今まで親族の代理行為を許していたものを拒否するケースも出ています。相当な注義務をはらって本人の利益を考えて管理していた代理人であっても、その権限を示す書面を提示して欲しい、というわけです。
成年後見制度は、具合の悪い方の保護を主眼としており、親族の利益を考慮した制度ではありません。成年後見が開始されると、本人の能力が回復しない限り、本人が亡くなるまで続きます。そのため、申立てを考えた動機となった問題を別の方向から解決できる場合は、そちらを利用した方が良い場合もあるかと思います。

TOPへ
 2007.9.1 (土) 代理人による遺産分割

協議で 「全ての遺産を法定相続割合で分割しましょう」 と話がまとまれば、相続人の間の利害の対立が全くないことになりますが、法律的には、遺産分割は共同相続人相互間の利害が対立するものと解されています。
従って、被成年後見人と成年後見人、未成年者と親権者、が共同相続人となった場合、それぞれの保護者(成年後見人・親権者)と本人(被成年後見人・未成年者)との間で利益相反の外形になりますので、特別代理人の選任が必要となります。(親権者の意図やその行為の実質的な効果を問題にすべきではないというのが判例の見解です。)
なお遺産分割においては、親権者であっても、同時に複数の未成年者の代理人になることはできません。また共同相続人の一人が他の相続人を代理することも、自己契約になり許されません。

TOPへ
 2007.8.24 (金) 抵当権の抹消

不動産の相続登記のために、登記簿謄本を取ってみると、古い抵当権がそのまま残っているケースがあります。お話しを聞くと、返済は既に終わっており、抹消の登記をしていない (忘れていた・したつもりだった) だけのようです。抵当権が設定されたままになっていても、返済が終わっていれば、支払いの請求が来ることもありませんので、何年も忘れているという事態になってしまうのでしょう。
そのような場合、相続登記のついでに抵当権の抹消も、となるのですが、あまり古い話になると、当時の書類が残っていなかったり、残っていても期限が切れていれば、新しいものに差替えてもらわなければなりません。借りていた金融機関が合併したりしていると、さらに手間がかかるようです。
返済が終わったら、すぐ抹消の登記もしてしまいましょう。余計な手間が掛らなければ、司法書士さんの手数料も安価で済みます。

TOPへ
 2007.8.17 (金) 成年後見の申立て費用

成年後見人は裁判所により選任されます。具合の悪い人自身が、選任の申立て (後見開始の申立て) ができない場合、配偶者や四親等内の親族等が申立てます。申立てに要する費用は概ね下記のとおりです。
1.裁判所に納める費用 (申立て手数料、切手代、後見登記手数料、鑑定費用)
2.当事者費用 (申立書の作成費用、裁判所への出頭費用など)
3.その他の申立て関係費用 (申立ての時の診断書作成料、戸籍謄本取り寄せ費用、事実関係調査費用など)
この手続費用は原則として申立人の負担となります。(家事審判法7条により、非訟事件手続法26条が準用されるため) しかし実務上は、後見制度の趣旨を考慮し、後見開始の審判後に成年後見人に対して、要した費用を求償することを認める例も多いようです。(東京家裁の場合)

TOPへ
2007.8.13 (月) 事務管理

自分の財産は自分で管理しなければなりません。
幼い子どものためには、法律により親権者が代理人に定められています。精神上の障害のため判断能力が衰えた人(認知症が進んだ等)のためには、法定後見制度があります。これには家庭裁判所の審判の手続が必要で、後見人等が選任されれば、その方が本人に代わって財産管理や身上看護をすることになります。
現実問題として、申立てを考えるまでの間も、本人の判断能力が不安定な時期があるわけですが、具合の悪い方が委任状も書けないような状態であれば、お世話をなさっている方は、民法の事務管理に従って、本人の意思を尊重し、時には推測しながら、本人の利益に適した管理をしなければなりません。

TOPへ
 2007.8.8 (水) 印鑑登録証明書

亡くなった方の預貯金を払い戻したり、不動産の名義を変更したりする時には、必ず相続人全員の印鑑登録証明書が必要となります。
金融機関では相続人であることを戸籍謄本で確認し、払戻し(名義書換え)請求書に実印で押印してもらうことで本人確認をしています。不動産を遺産分割協議により相続する人を決めた場合は、その遺産分割協議書とともに印鑑登録証明書も法務局に提出します。金融機関は、ほとんどが三ヶ月以内に作成されたものを要求しますが、法務局の場合、作成後三ヶ月以内のものである必要はない、としています。(相続登記の場合)
このように、印鑑登録証明書の有効期限は提出先により決められます。相続人が多数の場合、印鑑登録証明書が揃うのに時間がかかってしまうことがありますが、そのような時は窓口で相談すれば、OKのこともあります。

TOPへ
 2007.8.1 (水) 遺産の範囲

亡くなった方名義の不動産、預貯金・株券等の債権、借金などの債務、その一切が相続の対象となります。(本人の年金受給権、お墓等の祭祀財産等は含まれません。)
亡くなった父名義になっているが、それは生前、父が長女に贈与したものであり、他の相続人全員もそれに異議がなければ、それを除いて遺産分割協議をすることもできます。(ただし、贈与税等別の問題が発生する可能性はあります) また、亡くなった父名義になっているが、実際は長男が資金を出して購入した不動産だから遺産ではないと主張するケースもあるかもしれません。その場合、話し合いがまとまらなければ、民事訴訟を提起して争うこともできます。
話し合いの中で、「他に遺産があるのでは?隠しているのでは?」という主張をする相続人もいます。その場合、それを主張する相続人が立証する必要があるだろうと思います。

TOPへ
 2007.7.21 (土) 検認を受けられない?

「遺言書の検認を受けられなかった。」という話を聞いたことがあります。よくよくお聞きすると、一人の相続人の住所が分からず、申立てを断念した、ということのようでした。検認を受ける際の申立書、添付書類は→こちら、裁判所のHPに詳しく記載があります。
長い間音信不通のご相続人でも、その方が移動する度にきちんと住民票の届出をなさっていれば、戸籍の附票を取ることにより、現在の住所は分かります。遺言書の検認は、その遺言書の存在を相続人全員に知らせて、遺留分を侵害されている相続人には、減殺請求ができることを知らせることにもありますので、裁判所も厳しいのでしょう。
以前、海外に行ったきり行方の分からないご相続人がいらしたケースでは、上申書で対応してもらえました。諦めずにアタックしましょう。
*公正証書遺言であれば、検認は不要です。

TOPへ
 2007.7.12 (木) 離婚と戸籍

離婚すると、戸籍の筆頭でない配偶者はその戸籍から出ることになります。自分一人の戸籍を作る方もいますし、親御さんの戸籍に戻る方もいます。お子様がいる場合、何もしないとお子様は婚姻中の戸籍に残ります。
例えば、離婚したママが待婚期間を経て、再婚したとします。子どもを自分と同じ戸籍に入れたい場合は、「母の氏を称する入籍届け」、あるいは条件が調えば、再婚相手との養子縁組をすることによって、子どもはママと一緒の戸籍に記載されます。(「母の氏を称する・・」は家裁の許可が必要です)
養子縁組をすると将来の相続権も発生します。ステップファミリーの場合、何十年も経ってから、あれッ?ということがないようにご注意ください。

TOPへ
 2007.7.4 (水) 自分でやる?不動産の相続登記

不動産の相続登記は司法書士さんの仕事になりますので、ご相談いただいた場合は、書類を揃えて取り次いだり、そのまま司法書士さんをご紹介したりしています。
自分で相続登記をしたという話をネットでも読んだ事がありますが、相続人の数とか、土地の筆数、建物の個数等、そのご家庭ごとに全く異なりますので、「あなたにも簡単にできますよ〜」とは言えません。熱心な勉強家で、自由になる時間があって、相談のために法務局に何度も通う気持ちがあれば、できなくはないのでしょうが、予算の範囲内でやってくれる専門家を探す方がずっと気がラクだと思います。登記にかかる登録免許税(国税)は、自分でやっても専門家に依頼しても同じです。専門家の手数料(報酬)も、ごく普通の相続登記であれば、数万円程度で済むはずです。
信頼できる専門家を探して、依頼する方がずっと得策では?と思っています。

TOPへ
 2007.6.22 (金) 寄与分

民法904条の2に「寄与分」の規定があります。これは昭和55年の改正で新設されたものです。被相続人(亡くなった人)の仕事を手伝ったり、療養看護その他の方法で被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした相続人に対して認められます。寄与分は相続人全員の話し合いで決定します。具体的に金額で決めても良いですし、遺産の何割という決め方でも構いません。
長年に渡って親御さんの介護をして来た相続人と、そうでない相続人が同じ相続分というのは、感情的に納得しにくいのは、よく理解できます。慰労金という気持ちも含めて他の方と合意できれば、その額を寄与分として計算しても良いと思います。
家裁の調停では、他人を雇用した場合に支払わなければならなかった労働の対価を算出し、平均物価指数を考慮したうえで、看護の内容、形態、程度により裁定割合を乗じて計算するようです。

TOPへ
 2007.6.12 (火) 遺留分算定の基礎

兄弟姉妹以外の相続人(亡くなった人の両親、妻・夫、子・孫・・)には、遺留分があります。遺言相続により自分の遺留分を侵害している場合は、不足の分を請求することができます。
遺留分の算定の基礎となる財産の範囲は、被相続人が死亡した際に遺した財産の価格に、贈与した財産の価格を加え、債務の全額を控除したものです。(民法1029条1項)
この贈与は、被相続人が亡くなる一年前にしたもの、遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたもの(民法1030条)、相続人の中に婚姻、養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、その受けたもの(民法1044条が903条1項を準用)とされています。
なお寄与分は考慮しません。

TOPへ
 2007.6.6 (水) 遺言の内容・目的

自分の全ての財産について、その仕分けを考えることは、個人差があるとはいえ高齢になればなるほど大変になるようです。そんな時は、これだけは譲れないというものだけ遺言できちんと残し、他の財産については、相続人で話し合って決めなさい、という内容の遺言も残すこともできます。その場合、なぜそのような仕分けをしたのか遺言書にも明記しておけば、相続人へ気持ちを伝えやすいと思います。
気になるのは、各相続人の遺留分ですが、これは相続人の権利ですから、その時にならなければ、主張するかどうか分かりませんし、遺言があってもなくても、相続人の話し合いは避けて通れないのも現実です。(例外もあります)
遺言を書く方は、相続人が後々揉めないためではなく、ご自分の考えを遺言として残せばいいのです・・・と、最近思うようになりました。(異論もあるかと思います。)

TOPへ
 2007.5.30 (水) 遺族年金と姻族関係終了届け

離婚すれば自動的に配偶者の親族との、姻族関係も終了します。しかし、配偶者が死亡した場合、姻族関係の終了届け (戸籍の届出) を出さないかぎり、親族としての関係は残ります。
亡夫の遺族厚生年金を受給している妻が、姻族関係終了届け を出して、旧姓に戻ったら、受給していた遺族年金はどうなるのか。答えは、受給権を喪失することはありませんので、引き続きもらえます。ただし妻が再婚すれば、当然、その受給権は失います。
また、今年の四月から制度が改正されて、30歳未満で夫に先立たれた妻で子どものいない人に対しては、5年間しか遺族厚生年金は支給されなくなりました。年金という生活の支えがあればこそ、貫ける愛もあるのでは?と考えるのは私だけでしょうか・・・。

TOPへ
 2007.5.21 (月) 危急時の遺言

突然病で倒れた場合、何の準備もできなことがあります。しかし自筆証書遺言は書けない状況でも、本人の意識があれば、民法976条の「死亡危急者の遺言」の規定に従って遺言を遺すことができます。
病院などでそのような事態になった場合は、たぶんお医者様や看護師さんが対処して下さることと思います。しかし、それ以外の場所でそのような事態になったら、大変です。その時には、まず近くの人を三人以上集めてください。そのうちの一人に遺言の内容を伝えます。聞いた人はそれを正確に紙に書き写し、遺言をした人と証人に読み聞かせます。証人になった人は、記載内容が正しいことを確認し、その書面に署名し印を押します。
この遺言には「確認」という裁判所の手続が必要です。検認ではなく、「確認」です。遺言書を作成してから20日以内に申立てます。17年度の統計によると、裁判所への「確認」の申立て件数は全国で89件、そのうち東京家裁は14件だそうです。(この遺言は、元気になったら書き直す必要があります。)

TOPへ
 2007.5.14 (月) 遺言を取消す

自筆証書遺言、秘密証書遺言であれば、破り捨てることによって簡単に取消すことができます。内容の一部を変えたい時には、その部分につき新しい遺言書を作成すれば、矛盾する部分は後の遺言が有効となります。
しかし、内容の重複する遺言が出てくると相続人の方も困惑するでしょうから、気持ちが変わったら、初めから書き直した方が無難でしょうね。
公正証書遺言の取消は、やはり公正証書遺言で取消すか、自筆証書で 「平成19年5月14日作成の遺言は全て取消す」という内容の遺言を作成する必要があります。原本が公証役場に保管されているからです。手元にある正本を破り捨てるだけでは、争いの元になると思います。
訂正や取消の手軽さから考えて、年齢の若いうちは自筆証書遺言にしておくとか、また生涯気持ちの変わらない重要な事のみ、公正証書遺言として作成しておくのもよいかもしれません。

TOPへ
 2007.5.6 (日) 遺言の検認と、遺言の有効・無効

民法の規定により、公正証書遺言以外の遺言は、裁判所で検認を受ける必要があります。誤解されている方が多いようですが、検認は遺言書の証拠保全に過ぎません。日付がない、遺言者の署名捺印がない、記載内容が具体的ではない、開封してある等の遺言でも、検認は受けることができます。
遺言の有効・無効が問題になるのは、その後です。例えば、不動産の相続登記を司法書士さんにお願いに行ったら、日付がない(遺言の方式に違反している)からこの遺言は無効ですよ、と言われるかもしれません。また、預貯金の払い戻しの際、金融機関の方から、誰がどの種類の預金を相続するのか明確に記載されていないので、この遺言では払戻しできません、と言われかもしれません。そのような場合には、相続人全員で遺産分割協議をする必要が出て来ます。
また、相続人の中に遺言の内容に不満がある人は、遺言無効確認の訴えを起こすかもしれません。そうすると、裁判所が有効・無効を判断することになります。

TOPへ
 2007.4.30 (月) ワープロで作成する遺言書

訂正や書き直しがとても簡単なワープロは、今ではなくてはならいものになっています。漢字が書けなくても、簡単に変換してくれるので、とても有難いですね。このワープロで作成した遺言でも有効になることをご存知でしょうか。遺言というと、「全文自書で」 と耳にタコができるほど聞いておられると思いますが、ワープロに慣れた世代には、全部手書き、さらに一文字たりとも間違わないように、なんて言われたら、至難の業?です。
民法970条に秘密証書遺言の規定があります。それに従えば、署名捺印だけすれば、ワープロだろうが他人に書いてもらおうが、要式としては有効となります。公証役場の手数料もお安いですし、使いようによっては「良い遺言」となる可能性も高いと思います。
リスクがあるとすれば、本人の署名はあるけど、この内容を本当に理解していたのか、本当にこれでいいと言ったのか、とケチをつけられやすいことでしょうか。

TOPへ
 2007.4.23 (月) 遺産分割協議書・袋とじ

遺産分割協議書が数枚に及ぶ時には、各ページに割り印を押します。一体ですよ、と明らかにするためです。相続人全員で押印しましょう。枚数が多く割り印が大変だな・・・と思ったら、袋とじにする方法もあります。ホチキスで止めた後、背表紙をつける、と表現すればイメージし易いでしょうか。その背表紙とウラ表紙(またはオモテ表紙)にのみ、割り印をすればOKです。
押印できる素材の製本テープも市販されていますが、印刷用紙を適当な幅にカットして使っても構いません。手先の器用な方がおられれば、袋とじもきれいにスッキリできるかもしれません。
もし、内容も複雑であり今後の事も考えて、大事に保管したいという思いでの「袋とじ」であれば、手間は掛かりますが、公証役場で遺産分割協議書を作成する方法もあります。

TOPへ
 2007.4.16 (月) 法定相続人以外が相続

配偶者は常に相続人ですが、その他に配偶者と同時に相続人となる人が決められています。第一順位が子(直系卑属)、第二順位が親(直系尊属)、第三順位が兄弟姉妹です。その順番で相続人となります。
法定相続人以外に相続させるには、生前に贈与するか、遺言で贈与する遺贈、あるいは死因贈与契約(民法554条)になろうかと思います。生前の贈与は贈与税の対象となりますが、遺贈・死因贈与は相続税の対象となります。
亡くなった人の財産が相続税の基礎控除内であり、相続税が非課税であれば、相続税の負担はありません。しかし、法定相続人以外の方が不動産を取得した場合は、不動産取得税が課税されます。詳しくは、東京都主税局のHPへ→こちら 他にも不動産の登録免許税等にも違いがあるようです。

TOPへ
 2007.4.7 (土) 在日外国人の方の遺言

国が違えば遺言の方式にも違いがあります。日本では認められていませんが、お隣の韓国では録音による遺言も法律で認められています。
在日外国人の方が、遺言を作成するときは、どの国の法律に従えばよいのでしょうか。
「遺言の方式の準拠法に関する法律」というのがあります。それによれば、遺言は遺言する人が、次のいずれかの国の法律で認められている方式に従って作成されれば有効となります。
1.遺言をした場所のある国の法律
遺言者が遺言の成立又は死亡の当時
 2.国籍のある国の法律
 3.住所のある国の法律
 4.いつも住んでいた国の法律
5.不動産については、その不動産がある国の法律
つまり日本にいる外国人の方は、日本の方式に従って遺言を残しても方式に関しては有効な遺言となります。
なお、相続の手続(相続人や相続分についての判断)においては、亡くなった方の本国法が適用されます(法例26条)ので、執行方法等については本国法も検討する必要があるかと思われます。

TOPへ
 2007.3.25 (日) 遺言書に記載のない遺産

亡くなった方が遺言書を残していれば、それに従って遺産の分割を進めることになります。しかし、遺言にその方の全ての遺産が記載されているとは限りません。その場合、記載されていない遺産(残余遺産)については、相続人の皆様で協議して分割する必要があります。
残余遺産の相続分の算定にあたっては、遺言で相続した遺産について、その相続人の特別受益とみて、持ち戻しの計算の対象にする場合もあるようです。しかし、一部分割と同様とも考えられますので、どう反映させるか、相続人の皆様で話し合って決めることも可能かと思います

TOPへ
 2007.3.19 (月) 遺産分割協議書の提出

遺産分割協議書には、分割した内容、またそれに関して相続人の皆さんで約束したことがあれば、それも書きます。従って、場合によっては他人にあまり見せたくない事もあるかもしれません。
しかし、相続税の申告(税務署)と不動産の名義変更(法務局)の際には、遺産分割協議書は必ず提出しなければなりません。(法定相続する時は不要) この不動産を誰が相続する、共有する場合はその持分を、遺産分割協議書で明らかにするためです。預貯金や株券の名義変更や払戻などは、窓口に手続用紙がありますので、協議書を提出する必要はありません。提出は任意です。
他人にあまり見せたくない協議書の内容の場合、少し工夫したらよいかもしれませんね。
TOPへ
 2007.3.14 (水) 遺産分割協議書と署名捺印

ご自分で遺産分割協議書を作成される方は、今はほとんどワードとか一太郎といった文章作成ソフトを使っておられると思います。草案ができた後、訂正や変更があっても対応が簡単なので、非常に便利です。
注意していただきたいのは、相続人の方の住所や氏名もワープロで入力し、本人が捺印するケースです。字が上手じゃないからとか、間違ったら困るからとか、理由は分からなくはないのですが、せめて氏名だけは、ご相続人ご自身に書いてもらって下さい。じゃないと、後から同意した覚えがないとか、勝手に印鑑を押したのでは・・・等という話になったら困ります。
緊張して間違ってしまったら、訂正印を押して、正しく書き直せば大丈夫です。
TOPへ
 2007.3.6 (火) 相続と戸籍

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を揃えるのは、戸籍から相続人を確定するためです。同じ戸籍に入っていなくても、認知をしていたり、養子縁組をしている場合がありますので、身分事項(縦書きの戸籍であれば名前の上部)を、よく読む必要があります。
相続人となる方の戸籍は、現在の戸籍を取れば、亡くなった方との関係が分かりますので、何度か姓が変わっていても、出生からの戸籍を揃える必要はありません。ごく稀に、金融機関の窓口で、姓が変わった相続人の方について、「出生からの〜」と言われる事があるようですが、プライバシーの侵害にもつながりますので、拒否してかまいません。

TOPへ
 2007.2.25 (日) 遺産分割と代償金

遺産分割で一人の人が不動産を取得する代わりに、他の権利者へは相続分に相当する現金を支払う、という約束は少なくないと思います。これを代償分割といいます。
不動産をどの程度に評価するのか、歩み寄りが難しいところではありますが、まとまれば次は代償金の支払い方法の問題です。現金を一括で用意できれば、それに越したことはないのでしょうが、分割払いにせざるを得ないこともあるでしょう。その場合、その旨をきちんと協議書に記載して、第三者にも分かるようにしておくことが肝心です。
また、相続税が課税されるようなケースでは、代償金を分割払いとした場合、定期金として処理されますので、少しお得になるようです。(詳細は税理士さんにご相談下さい。)

TOPへ
 2007.2.22 (木) 未成年者と遺産分割

未成年者が相続人となった場合、その未成年者を保護するために、法定代理人(父または母)が本人に代わって遺産分割協議に参加します。
例えば、夫婦は離婚、未成年の子は母が親権者となった。その後、父が亡くなって、未成年の子が相続人となったような場合、母が法定代理人として子の父の遺産分割協議に参加することになります。相続の放棄の必要があれば、母が手続をします。
なお、離婚していない状態で父が亡くなった場合、母と子は両人とも相続人という同じ立場に置かれます。その場合、母と子は利益相反しますので、母は子のために特別代理人の選任の申立てをしなければなりません。特別代理人は、子が不利益にならないように配慮しますので、母一人が全てを相続するような遺産分割は、心情的には分かりますが、認められにくいかもしれません。

TOPへ
 2007.2.17 (土) 遺産分割協議書

口頭でも契約は成立します。遺産分割協議もそうです。しかし、後で忘れてしまったり、ちゃんと遺産分割協議をしましたよ〜と、証明するために、遺産分割協議書が必要になることがあります。
一番身近なところでは、不動産の相続登記です。法定相続割合で持分の登記をする時には不要ですが、例えば相続人の一人に引き継がせる時には、この協議書で、他の相続人の同意も証明することになります。
金融機関の預貯金の払戻の際には、この遺産分割協議書の提出は強制されません。その代わり、金融機関の所定の用紙がありますので、それで手続をします。その場合は、遺産分割協議書では預貯金の明細には触れずに、代償金の額だけ明記することも可能です。

TOPへ
 2007.2.9 (金) 戸籍・昭和の改製

旧民法の時代には家制度がありました。戦後、新民法が施行され、戦前に生まれた方の戸籍は改製が行われて、新民法に従った戸籍に作り替えられています。
戸主を筆頭にその父母、妻、兄弟、子、甥、姪、孫・・・と家族の一団によって編成されていた戸籍を、夫婦及び氏を同じくする子を単位とする戸籍に分解する大変な作業が必要でしたが、時代は戦後の混乱期です。物心ともに困難な時代です。そのため改製は10年間据置きの措置がとられ、昭和32年からその作業が行われました。
戦前に生まれた方の戸籍を遡って取得すると、この昭和の改製の戸籍に出会います。(例外もあります)

TOPへ
 2007.2.4 (日) 預貯金と遺産分割協議

亡くなった方名義の預貯金を、複数の相続人で分割する際、代表して受取る方を、遺産分割協議できちんと決めておくと手続がスムーズにできます。
例えば、A銀行の預金はB.C.D三人の相続人で三等分しましょう、という話が纏まったとします。この状態で銀行の窓口に手続に行くと、BさんもCさんもDさんも一緒に来て下さい、と言われることがあるようです。行けない時は大変ですね。その場合、分割協議書にA銀行の預金はBが相続し、その代償金として、Cさんに○○円、Dさんに○○円支払う、としておくとBさんが一人が銀行に行けばすみます。 (ただし、銀行の書類への署名捺印は相続人全員の分を求められることもあります。)

TOPへ
 2007.1.28 (日) 法定後見の申立て

法定後見は、具合の悪い方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをします。練馬区にご住所のある方は、霞ヶ関の東京家庭裁判所です。お隣の西東京市になると管轄は、八王子支部になります。
霞ヶ関の場合は、裁判所の13階に後見センターの窓口があります。ここで手引きをもらうこともできます。(ネットからダウンロードすることも可能)必要書類を揃えて、窓口に行くとその日のうちに事情聴取、面談が行われます。
なお、今年の1月から予約制が取られていますので、空振りしないように、予約してからお出かけ下さい。 詳細はこちらへ

TOPへ
 2007.1.19 (金) 高齢者の遺言能力

遺言がなければ、相続人は遺産分割協議をして遺産の分け方を決めます。法定相続分を参考にしつつ、金額だけの平等ではなく、実質的な平等(例えば亡くなった方の療養看護に尽くしたとか、学費を他の兄弟よりたくさん出してもらったとか・・) を考慮して、分割の話を進めます。
この話し合いが難航する心配があれば、相続人の方から、遺言を遺しておいて下さい、と頼まれることもあるかもしれません。しかし、高齢になってからの遺言は、遺言者が本当にその内容を理解できているか、心配になることがあります。かといって、若いときに遺言を書いても、数年経って環境が変われば事情が変わるかもしれません。そのような時に、書き直す気力、取消す気力が残っているか・・難しい問題だと感じます。

TOPへ
 2007.1.13 (土) 遺言と遺留分

兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があります。遺留分とは、亡くなった方の遺言があっても、奪われない相続分です。
もし、亡くなった方の遺言があって、自分の相続分が、この遺留分を下回っているようであれば、足りない分を他の受贈者・受遺者に請求することもできます。
遺言を書く時には、この遺留分にも十分配慮してあげて下さい。
この遺留分は生前に放棄することもできますが、家庭裁判所の許可が必要です。後日、事情が変わったら、遺留分放棄の取消の審判を求めることもできますが、慎重に行う必要があります。
TOPへ
 2007.1.8 (月) 相続は一切合切

相続人は、相続開始の時から、被相続人に属した一切の権利義務を承継する・・・民法896条に規定があります。
被相続人というのは亡くなった人のことです。簡単に言えば、お父さんが亡くなったら、その妻と子どもは、お父さんの財産も借金も全部引き継いでください、という事です。(ただし権利の性質によっては引継げないものもあります)ここで厄介なのが、財産にも色々あるので、欲しくないものまで引き継がなければならないこと。借金はもちろんのこと、費用がかかるだけの土地も相続しなければなりません。なお、思いがあれば土地は遺言により、特定の人や団体に寄付することもできます。

TOPへ
 2006.12.24 (日) 遺言が不必要な場合

私の父が子どもだった時代は、まだ家督(かとく)相続が行われていました。簡単に言えば長男が、家も、その家の財産も、墓も継ぐ、という相続です。戸籍でも戸主という立場で一家を率いていました。
しかし時代が変わって今は均分相続の時代です。長男も次男も長女も相続分はみんな平等という権利を持っています。主張できる、という事です。ですから、財産を残す立場の方が、一人の子に特定の物を遺してやりたい、と思うならば遺言を作成しておかなければなりません。もし、そういう思いもなく、後は子どもたちで話し合って分けて欲しい、と願うのなら、敢えて遺言を遺す必要はないと私は思います。それで揉めるようであれば、自分の育て方が悪かったと諦めましょう。
TOPへ
 2006.12.15 (金) 遺言を作成する、しない。

遺言書がなければ相続人どうしの話し合いにより、亡くなった方の遺産は分割されます。遺言書を書いておくかどうかは、本人の意思です。その方が亡くなった後、大変な問題が発生することが予想されても、本人が書きたくないと言えば、無理強いすることはできません。
遺言は本人が遺したいと思う場合と、ご家族の方が、遺しておいて欲しいと思う場合があります。後者の場合は、非常にデリケートな問題なので、切り出しにくいですね。
自分の財産の多寡にかかわらず、年齢を重ねたら自分の財産を受け継ぐ人は誰なのか、その人たちの法定相続割合はどうなのか、考えてみても良いのかもしれませんね。

TOPへ
 2006.12.5 (火) 相続させたくない

様々な事情で、あの子には私の財産を相続させたくない、ということがあります。勘当した子であったり、前妻との間の子であったりするようです。遺言を残すことにより、その子に相続分を与えない意思表示をすることができますが、子どもの相続する権利は法律で守られています。その子が主張すれば、他の相続人はその子の分を仕分けしてやる必要があります。
逆に関係は円満だが、遺産は他の子に相続させたいという場合。その旨の遺言を書いて、相続させない子には、その子の意思で遺留分の放棄という手続をしてもらうこともできます。事業の継承等の心配があれば、この方法を利用すれば安心かもしれません。
TOPへ
 2006.11.17 (金) 孫名義の預貯金

祖母が亡くなった後、孫名義の預金が出てきました。これはどうなるのでしょうか。生前におばあちゃんとお孫さんの間で贈与契約が成立していれば、孫のものとなります。(ただし、書面で残しておかないと相続人から贈与を取消される場合もあります。)
孫も知らず、通帳も印鑑も祖母が管理していたのであれば、祖母の相続財産として遺産分割の対象となります。従って、相続人の皆様には、孫の名義で貯金していた祖母の気持ちを考慮しつつ、分割の話し合いをして欲しいと思います・・。

TOPへ
 2006.11.7 (火) 遺言の取消し

遺言はいつでも自由に取消すことができ、何度でも書き直すことができます。他人の同意も不要です。
自筆証書遺言であれば、破り捨てる方法が一番簡単です。公正証書遺言の場合、破り捨てるだけでは完全に取消したことにはなりません。手元にあるのは謄本か正本で、肝心な原本は公証役場に保存されているからです。公正証書で作成した遺言を取消す場合は、新しく遺言を書く必要があります。新しく作る遺言は、公正証書でも自筆証書でもどちらでも構いません。

TOPへ
 2006.10.30 (月) 自筆証書か公正証書か

自分で書く遺言は「自筆証書遺言」、公証人の作る遺言は「公正証書遺言」です。この二つの遺言の大きな違いは、亡くなった後の手続です。
自筆証書遺言は、亡くなった後、家庭裁判所で「検認」という手続をしなければなりません。遺言の記載内容に不備があれば、せっかくの遺言が役に立たなくなることもあります。
公正証書遺言は、検認の手続も不要、不動産や預貯金の払戻や名義変更も極めて簡単にできます。
後の事務手続だけを考えれば、公正証書遺言は安心ですし、お勧めです。しかし、簡単に変更や取消ができないという欠点もあります。また費用もかかります。どちらかがいいかは、迷うところですね。

TOPへ
 2006.10.22 (日) 法定相続分と相続放棄

亡くなった人が遺言を残しておらず、相続人が複数いる場合は、遺産の分け方を相続人で協議して決定しなければなりません。協議が調うまでは遺産は共有の状態となります。皆様の話し合いがまとまれば、どんな分け方をしても構いませんが、話し合いのよりどころとなる一つに、法律で定められた相続分があります。(民法900条)
兄妹3人だけが相続人であれば、相続分は均等、つまり1/3ずつです。このうち一人が家庭裁判所で相続放棄の手続をすると、初めから相続人ではなかった事になりますから、法定相続分は1/2ずつとなります。
なお、上の例で相続税の総額を計算する場合、その法定相続分は1/3のままです。相続放棄はなかったものとして計算し、各人の相続税額を計算します。

TOPへ
 2006.10.13 (金) 内縁配偶者

死亡ではなく、離別による内縁解消の場合は、民法の財産分与の規定が類推適用されますので、別れた配偶者も保護されます。しかし、内縁関係のまま死亡した場合は、お互いに配偶者の相続人となることはできません。相続人の規定(民法890条)を内縁に準用することは認められていないからです。
可能であれば籍を入れてしまうのが一番簡単ですが、困難であれば、今すぐ遺言を残しておきましょう。そうすれば、一方の死亡後、生存配偶者に遺産を取得させることができます。
もし、遺言もなく死亡し途方にくれている場合は、相続人に対して 実質的共有持分権を主張してみる方法もあります。

TOPへ
 2006.10.10 (火) 遺言の有効・無効

遺言には決まりがあり、それが欠けると法定には無効な遺言となってしまいます。しかし相続人の間で、その遺志を汲みましょうと話がまとまれば、遺産は亡くなった人の遺志どおりに分割されるでしょう。
逆に形式的には全く問題のない遺言であっても、有効・無効を裁判で争うケースもあります。相続人がへとへとになってもう嫌だと思うまで、争いは続くようです。
遺言を書く書かないは別として、自分が亡くなった時の相続人は誰になるのか、どういうことが予測されるか・・・・ 年を重ねてきたら考えてみるのもいいかもしれません

TOPへ
 2006.10.4 (水) 遺言執行者の指定

遺言をその内容どおりに実現する人を遺言執行者といいます。これは遺言で指定しておくこともできます。指定しておくと、後の手続がスムーズ進むことが期待できます。
注意していただきたいのは、遺言執行者が遺言者より先に死亡してしまったり、高齢を理由に就任を拒否するケースです。 このような事態を想定して、次の順位の遺言執行者を指定しておくと安心です。
遺言を書いた後、長生きして天寿を全う。数十年前の遺言で遺言執行者に指定されていた妻も、既に100歳近くになっていた・・・実際にあった事例です。ぜひ次の順位の執行者、あるは復任権を付与しておいて下さい

TOPへ
 2006.9.26 (火) 予備的遺言

同居している長男Aにその不動産と預貯金の一部を、遠方に住んであまり行き来のなかった次男Bには残りの預貯金を、という内容の遺言を残したとします。 この場合、もし、長男が遺言者より先に亡くなってしまったら、遺言の中の長男に対する部分は効力を生じません。「相続させる」旨の遺言は「相続分の指定」とされているので、相続が発生した時(遺言者が死亡した時)に受取る人がいないという事態になるからです。
これを防ぐために、「もし長男が遺言者より先に死亡したときは、その財産を孫○○に相続させる。」 としておく必要があります。これを予備的遺言といいます。予備的遺言がない場合、孫がいれば代襲相続人として、次男Bと遺産分割協議をする必要があります

TOPへ
 2006.9.25 (月) 遺言理由書

私たちには自分の財産を自分の責任で処分する自由があります。遺言もそれを実現する一つの手段です。遺言がなければ、法定相続により分割されます。その内容は相続人の話し合いにより決まることになるでしょう。
遺言があれば、その内容に従って遺産は分割されます。例えば子どもが数人いた場合、ある特定の子だけその相続分を多くしてやることもできます。その場合、他の子から不服がでるかもしれません。どういう経緯によりそのような遺言内容にしたのかを書面にして、一緒に保管しておかれれば、他の子も納得し、紛争を回避できる可能性もあります。

TOPへ
 2006.9.18 (月) 相続人

Q: 亡くなったAさんには両親も子どももいなかったので、兄弟が相続人となりますが、兄弟の中でAさんより先に亡くなっているBさんがいた場合、誰が相続人となりますか?BさんにはCという子どもがいます。
A: 亡くなっているBさんの子ども、Cさんが代襲相続人となります。Aさんが亡くなった時に、そのCさんも既に亡くなっていた場合、そこで終わりです。Cさんの子どもに相続権は移りません。
注意しなければいけいなのは、Cさんが代襲相続人となった後、相続手続をせず亡くなった場合、その権利が、Cさんの相続人に引き継がれますので、Cさんの妻やその子ども、ケースによってはCさんの兄弟姉妹にも手続の協力をお願いしなければならなくなります。
TOPへ
 2006.9.11 (月) 相続人

Q: 私には子どものいない叔父Aがいます。Aの両親は既に死亡しています。Aの相続人となるのは誰ですか?
A: まずAさんに妻がいればその方は相続人となります。法定相続分は3/4。 残りの1/4をそのAさんの兄弟が相続します。ここで注意していただきたいのは、Aさんに異母兄弟、異父兄弟がいればその方々も相続人となります。Aさんの戸籍を出生まで遡ると同時に、Aさんの両親の戸籍も各々15歳くらいまで遡って、他に兄弟姉妹となる人がいないか調べる必要があります。
なお、父母の一方だけが同じ兄弟の法定相続分は、父母の双方が同じ兄弟の相続分の1/2です。
TOPへ
 2006.8.22 (火) 公証役場

聞き慣れない名前だと思いますが、全国で300箇所ほどあります。法務大臣に任命された公務員の方が公証人として執務しています。
何をする所かというと、よく「遺言の作成は公正証書で」とお勧めしてますが、その公正証書を作ってくれるところです。完成した遺言は「公」に「正」しいことを「証」されていますので、本人が亡くなった後、家庭裁判所での遺言の検認手続は不要となります。
また公証役場では、確定日付の付与、つまりその日現在における文書の存在の証明もしてもらえます。確定日付があると、文書の作成日につき完全な証拠力を有しますので、ようやくまとまった遺産分割協議の場合、協議書にこの確定日付を打ってもらっておくと、ちょっと安心かもしれません。なお、遺産分割協議書そのものを公正証書で作成することも可能です。

TOPへ
 2006.8.11 (金) 遺産分割協議書

亡くなった方が遺言書を残していない場合、その遺産を分割するには遺産分割協議が必要です。相続人全員の合意により分割方法が決まり、協議が成立したら、後々の証拠資料となるので遺産分割協議書を作成しておきましょう。
もし遺産の中に不動産があれば、これを登記原因を証する書面として相続登記することができます。
遺産分割協議書は作成せず、預貯金等の名義変更は金融機関所定の用紙で手続を済また。残る不動産は相続人の中の一人が相続するというような場合は、不動産について分割協議書を作成する必要があります。

TOPへ
 2006.7.26 (木) 相続の手続 その7

≪不動産≫
土地や家屋の名義変更の手続(相続登記)は、いつまでにしなければならない、という決まりはありません。が、いつかはやらないといけません。預貯金の手続が終わったら一緒にやってしまいましょう。
相続税は非課税であっても、不動産の名義変更には、登録免許税という税金がかかります。現在は固定資産評価額の0.4%です。評価が高いと税金も高くなります。相続登記を司法書士さんに頼んでも、この税金を安くしてもらうことはできません。自分で相続登記をしても、司法書士さんに依頼しても、税金の額は同じです。必要書類を全て自分で揃えて依頼なされば、司法書士さんの手数料は数万円です。

TOPへ
 2006.7.16 (日) 相続の手続 その6

≪公共料金≫
亡くなった方の通帳から公共料金の口座振替をしていた方は、口座を変更する必要があります。引落しができない期間はご自宅に納付書が届きますので、それで納付してください。
たいがいの金融機関の窓口には、公共料金の口座振替の申込用紙がおいてあります。その用紙を使えば、電話・電気・ガス・水道・NHK受信料の口座振替を一括して申し込むことができます。領収証のお客様番号を記入する必要がありますので、用紙をもらって自宅に持ち帰り、ゆっくり書いてください。

TOPへ
 2006.7.10 (月) 相続の手続 その5

≪金融機関の手続≫
○銀行、×信託銀行、△信用金庫、☆組合etc・・ それぞれ手続用紙がありますので、その取り寄せから行います。名義人が死亡したことを伝えるとそれ以降は引き出しができなくなります。公共料金の口座振替などがあった方は引落しされませんので、ご注意下さい。
金融機関の相続手続用紙は、遺言、遺産分割協議書の有無等で書式が異なります。全額払い戻すのか誰かがそのまま引き継ぐのか決めておく必要があります。また、相続人を確認するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍が必要です。(遺言がある場合は不要の場合もあります。) 遺言や遺産分割協議書がないかぎり、相続人全員が実印で押印して印鑑証明書を添付します。

TOPへ
 2006.7.1 (土) 相続の手続 その4

≪郵便貯金の手続≫
亡くなったので手続をしたいと近くの郵便局に行きます。 相続確認表兼郵便貯金等支払停止依頼書(3枚綴り)をくれますので、その場で書けるようであれば、書いて提出しましょう。誰が相続人になるのかという表と、預貯金の明細、引継方法(払い戻すのか名義書換えか)です。
窓口に提出すると、数日後に貯金事務センターから必要書類の案内と「相続請求書」が届きます。それに基づいて、戸籍や印鑑証明を揃え、請求書に署名捺印します。
上記書類を再度、最初の郵便局に提出し、書類を確認後、貯金センターに送ってもらいます。
書類に不備がなければ、何日か後には名義書換えが完了します。払戻であればお手もとに金券が届きます。解約済みの通帳や計算書は郵送で届きます。

TOPへ
 2006.6.22 (木) 相続の手続 その3

様々な手続の中で必要となってくるのが、亡くなった方の戸籍です。亡くなったことが分かる戸籍であれば、最新の戸籍を取ればいいので簡単ですね。出生からの連続した戸籍を持って来て下さい・・と言われたら・・・。
まず、亡くなった方Aさんの死亡の記載のある戸籍を取り、「Aが亡くなったので、出生からの戸籍が必要です。こちらにある物を全て下さい。」と役所の窓口で言って下さい。その役所にある物を全て出してくれます。そこにない場合は、×市役所に行って下さい、と教えてくれますので、次はその役所に行きます。窓口での言い方は前と同じです。その繰り返しで出生まで辿り着くことができます。遠くて行けない場合は、郵送でも取り寄せられます。その場合は、申請書に先の文言を書いて申請して下さい。
なお戸籍は一部あれば全ての手続ができます。(手続の度に確認後返却してくれ、と言う必要はありますが・・)

TOPへ
 2006.6.15 (木) 相続の手続 その2

遺族年金や郵便局の簡易保険の申請をする時に、死亡届の写し(死亡届記載事項証明書)が必要なことがあります。死亡届を提出した役所に1ヶ月保管されていますので、その間に行けば写しを受取ることができます。1ヶ月以上経つと、亡くなった方の本籍地を管轄する法務局保管となりますので、少し面倒になりますが、その場合は郵送でも請求できます。亡くなった方との関係が分かる戸籍、何故必要かその理由とそれを裏付ける書類、請求する人の身分証明書等が必要です。
また、亡くなった方が国保に加入していれば、喪主の方に葬祭費が支給されますので、忘れずに請求しましょう。
保険金の受取りのために、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を持って来て下さい、と言われることもありますので、準備をしましょう。戸籍は、預貯金や不動産の名義変更の手続にも必要です。

TOPへ
 2006.6.12 (月) 相続の手続 その1

身辺が少し落ち着いたので、そろそろ相続の手続を始めなきゃと思うのだが、何から始めて良いのかサッパリ分からない、といったご質問も良く受けます。
亡くなった方に多額の借金があれば、相続放棄の手続をしなければなりませんが、その必要がなければ、まず、もらえるものをもらってしまいましょう。死亡保険金や入院給付金の申請ですね。保険証券を手元に用意して保険会社に連絡しましょう。
保険会社や契約内容によって、必要な書類も異なりますが、亡くなった事が分かる戸籍、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍、お医者様の死亡診断書あるいはそれに代わるもの、病院の領収証等が必要になると思います。
電話で教えてくれますので、メモを取りながら説明を受けて下さい。保険金の請求用紙も郵送で送ってくれます。

TOPへ
 2006.6.3 (日) 遺産分割のやり直し

数年前の相続で不動産を私の名義にしたが、事情があって管理ができなくなったので、弟の名義にしたい...珍しくないお話しです。
遺産分割のやり直しについては、「共同相続人は既に成立している遺産分割協議につき、その全部または一部を全員の合意により解除した上、改めて遺産分割協議を成立させることができる。」という趣旨の平成2年の最高裁判決があります。→こちら
だったらドンドンやれそうに思いますが、税金の問題が発生します。一度、有効な遺産分割で取得した財産ですから、それを話し合いで動かすのは、贈与と同じとみなされます。(相続税の通達) 
なお、錯誤などで当初の遺産分割が無効であることが立証できれば大丈夫です。(立証が難しいかも・・・。) 遺産分割には期限はありませんので、今後のリスクなども十分検討して分割を進めてください。

TOPへ
 2006.5.23 (火) 熟慮期間の起算点

相続を承認するか、放棄するかを熟慮するために三ヶ月という期間が決められています。この期間の起算点は、相続人が「自己のために相続の開始があったことを知った時」 です。つまり、自分がその相続について相続権を有することを知った時に、初めて熟慮期間は進行を始めることになります。
しかし、これには特例があります。相続人が未成年者、成年被後見人の場合です。(民法917条) この場合には、その法定代理人が、未成年者や成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算されます。(被保佐人は特例に入りません)
認知症等で自分が相続人になった事を全く認識できない状態であれば、法定代理人が選任されるまで熟慮期間は進行しません

TOPへ
 2006.5.16 (火) 推定相続人の廃除

Aさんが死亡すれば相続人となる地位にいる人のことを、Aさんの推定相続人といい、子は親の推定相続人となります。勘当した子であっても相続権はありますので推定相続人です。
もし親が遺言を残せば、その子の相続分をゼロにすることはできますが、その子には「遺留分請求権」がありますので、その権利をその子が行使すれば、全く渡さないというわけにはいきません。
しかしどうしても相続させたくない、一銭も渡したくない、という事情があれば、裁判所に推定相続人の廃除を請求することもできます。非常に要件は厳しいですが、調停または審判によって確定すれば、その子は相続権を失います。(戸籍に記載されます。)
なお、遺言によっても廃除をすることができます。その場合の手続は遺言執行者がします。

TOPへ
 2006.5.13 (土) 相続放棄と生命保険金

被相続人が被保険者であり、受取人が相続人という契約内容であれば、被相続人に負債がたくさんあって相続放棄をしても、保険金は受取る事ができます。保険金を受取る権利は、相続により発生するのではないからです。保険金受取人は、保険契約の効果として、生命保険金請求権を取得します。
なお受取人を相続人の中の特定の人に指定してある場合と、ただ法定相続人とした場合とがありますが、後者の場合、特段の事情のない限り、この指定には相続人の受取る権利の割合を法定相続分の割合とする旨の指定も含まれている、と解されています。

TOPへ
 2006.5.5 (金) 字が書けない人の遺言書

加齢により目が見えにくくなったり、病気で利き手が麻痺したりすると字を書くことが困難になります。自筆証書遺言は自分で遺言の全文を書かなければいけませんので、そのような場合躊躇なさると思います。秘密証書遺言であればワープロでも構いませんが、署名(自書)は必要です。署名がないと遺言書としての効力は発生しません。
そんな時、一番確実なのは公正証書遺言です。本人や取次の人から聴取した内容を公証人が遺言書として作成します。この場合も、本人の署名捺印が必要ですが、先の理由等で字が書けない場合は、公証人がその理由を付記して署名に代える事もできます。

TOPへ
 2006.4.23 (日) 行方が分からない相続人

相続人の中にどこにいるか分からない人がいる場合、その方の戸籍の附票を取ることによって現在の住所が分かります。その住所で連絡が取れれば後の手続は簡単です。しかし、手紙を出しても返事がない、訪問したけど住んでいる様子がない、ご近所に聞いてもここ数年会ってない、なんて事になったら大変ですね。また、戸籍の附票を取ったけど、既に住所が職権消除されていた、なんて事もあります。そのような場合は、裁判所に不在者の財産管理人を選任してもらうことによって、遺産の分割をすることができます。
外国に帰化した後、行方不明というような場合、法例6条により日本の裁判所で失踪宣告を出してもらう方法もあるようです。

TOPへ
 2006.4.15 (土) 相続と税金

人が亡くなり相続や遺言でもらった財産に対して課税される税金は相続税です。財産を取得した人の課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額、5,000万円+(1,000万円×相続人の数) を超える場合、その財産を取得した人は、相続税の申告をする必要があります。税額がゼロでも申告は必要です。
不動産を相続人の一人が相続して、私は相続分を現金でもらったが(代償分割)、贈与税の対象になるのかというご質問がありましたが、相続で受けた財産は相続税の対象になりますから、贈与税が課税されることはありません。

TOPへ
 2006.4.8 (土) 戸籍を読む

遺言がない場合、亡くなった人の相続人となる人を確定する手段は戸籍の記録のみです。日本国籍のある方であれば、出生から死亡までの親族関係を戸籍の届出により記録されているからです。ですから、一口に出生から死亡までの戸籍を集めてください、と言われても、人の人生がそれぞれ違うように、戸籍も全く違います。死亡から遡って2通取れば出生に辿り着く方もいますし、6通取っても辿り着かない方もいます。また戸籍からは、その方の人生も見えて来ます。ご縁があって、戸籍を見せていただく時、その届けをなさった時の故人の気持ちなどが推し測られ、責任を感じることもしばしばです。
話しがそれましたが、預貯金の相続手続の際、戸籍からの相続人の見落としがあることも少なくないようです。問題なく終わればそれでもいいのでしょうね。

TOPへ
 2006.4.1 (土) 遺産分割協議

例えば、お祖父ちゃんが亡くなって、その子どもたちが相続人になったとします。もしお祖父ちゃんより先に亡くなった子 A男 があれば、その子ども C (お祖父ちゃんからみれば孫) が相続人となります。当然、遺産分割協議に参加します。しかし、A男の配偶者B子が健在であれば、兄妹としてはB子を無視して、話し合いを持つことはしにくいと思います。B子をまじえて、あるいはB子がCに代わって遺産分割協議に参加することもあるでしょう。
分割協議は相続人だけで話し合いを持った方が良い場合、他の親族もまじえて考えた方が良い場合と様々です。
TOPへ
 2006.3.22 (水) 遺産分割協議書

遺産に不動産がない場合、遺産分割協議書を作成しないで相続手続を終わらせてしまう方も少なくないようです。相続人の間では、口約束だけをしておき、預貯金の名義変更や払戻しの際は各金融機関の所定の用紙を使います。後々、問題が発生しなければそれはそれで構わないと思います。
しかし、職業上・・・言わせていただけば、やはり作成しておいた方が安心です。人の気持ちはいつどうなるか分からないですし、将来、認知症などになったら「・・あら、そういえばあの時の・・あれ・・どうしたかしら?・・」となることも。原本を一通作成して一人が保管し、他の方は写しをお持ちになれば良いでしょう。
なお、厳格な協議書を希望であれば、公正証書にする事もできます。

TOPへ
 2006.3.12 (日) 遺産分割協議のやり直し

協議がまとまって、遺産の名義変更等、相続手続をした後、やっぱりあの時にああしておけば良かった・・・と思うこともあります。このような場合、やり直しが可能でしょうか。
判例、通説は、相続人全員の合意があれば、既に成立している遺産分割協議の全部または一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは可能であるとしています。(*長期間経過した場合、全員の合意があっても権利の濫用になるおそれあり)  しかし、めでたく?再分割ができたとしても、次には税金の問題が発生します。遺産分割のやり直しは、譲渡や交換、贈与として課税されます。ご注意下さい。

TOPへ
 2006.3.5 (日) 祭祀承継者と相続

家の中に仏壇を置き、先祖の位牌を祀り、年忌供養をする。墓参り、墓の草取り、彼岸やお盆の供養、親戚縁者との連絡・・・祭祀を承継する人の役割になります。
戦前の民法は家督相続でしたので、この役割はほとんど長男でした。長男は家の財産とともに祭祀承継者になりました。しかし戦後の民法改正により 「家制度」が解体され、墓や祭祀のための所有権は相続財産には含まれなくなります。では、誰が受け継ぐのかというと、まず慣習による、被相続人の指定があればそれに従う、不明であれば家庭裁判所がこれを定める(民法897条)とあります。
祭祀を承継する人には、時間的、経済的にも負担がかかりますが、現在の民法の規定にはそれに対しての配慮はありません。遺産分割協議をするにあたっては、そのあたりも配慮してあげて欲しいような気がします。

TOPへ
 2006.2.22 (水) 特別受益の持ち戻し

「遺産は等分する」と話しがまとまったとしても、相続人の中に故人から生前に結婚資金、生活資金等の贈与を受けていた人がいた場合、それを考慮しないで分割すると、不公平感を感じる人もいます。
故人の気持ちでやってあげたことですから、遺産分割において考慮する必要もないように私は思うのですが、これについては、民法903条に規定があります。つまり、亡くなった人の財産に一度戻して全員の相続分を計算し、生前にもらっていた分を差し引いてその人の相続分とします。これを特別受益の持ち戻しといいます。しかし、故人が生前に持ち戻して計算する必要はないよ、と言っていれば、その必要はない、とも規定されています。ややこしいですが、仲良く分割しましょう。
TOPへ
 2006.2.13 (月) 財産分与

婚姻届けは出していなかったが、夫婦同然に暮らしていたような場合は、離別に際し財産分与の請求が認められています。
今時の若い方であれば、夫婦であってもそれぞれの預貯金があって、住宅の所有権も半分ずつという暮らし方も珍しくありませんが、私の母の世代の方は、夫を立てて全てを夫名義にしている方も少なくありません。内縁関係のままで、相手が死亡した場合残されたパートナーは相続人になることはできません。しかし、この財産分与の考え方を使ってお話し合いで解決できることがあるかも知れませんね。
*民法768条(財産分与の請求)の類推適用を認めた下級審の審判例もあります

TOPへ
 2006.2.09 (木) 内縁

よくある哀しいケースが「内縁の妻」です。相続人になれる人は民法で決まっています。その中には内縁の妻は含まれていません。どんなに疎遠であっても、戸籍上の妻が相続人となります。
事情があって、戸籍上の妻にできないのであれば、事実上の妻のために遺言を残しておいて下さい。「私が亡くなったらその遺産を清美(?)に遺贈する」 そのひと言でもいいんです。きっと奥さんは言い出しにくいはず、あなたも男なら最後までちゃんと奥さんの面倒をみて下さい。

TOPへ
 2006.2.01 (水) 継親子

戦前は、後妻と先妻の子、あるいは夫と妻の連れ子が同じ(戸籍)に属している場合を継親子と呼び、実の親子と同じ関係にあるものとされていました。互いに扶養の義務もあり相続権もありました。
しかし、戦後の新しい民法では、このような継親子の間には、親子関係がないことになりました。養子縁組をしない限り親子関係は発生しませんので、相続権もありません。
ご高齢の方の中には、昔の民法で親子だったからと、この事をご存知ない方もおられます。血はつながっていないが、実の子同様に育てた、あるいはそのような親の面倒をみている、という方は一度確認してみてください

TOPへ
 2006.1.29 (日) 一人っ子

一人っ子の方が生涯結婚せず、子をもうけなかった場合、その方の相続人は不存在となる可能性があります。
その方の両親、祖父母は既に死亡、配偶者も子もいない、しかし、伯父伯母、従兄弟はたくさんいて親戚付き合いもあった。このようなケースでも法定相続人は不存在となる可能性があります。
このケースで法定相続人となる方は、異父兄弟、異母兄弟のみです。いなければ、「相続人不存在」となりますので、その方の財産は国庫に入ることになります。
回避するためには、生前に遺言を書く、養子縁組をする等の方法がありますので、身近にそのような環境の方がおられたらアドバイスしてあげて下さい。
TOPへ
 2006.1.19 (木) 法定単純承認

相続放棄は、被相続人が死亡してから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続をしなければなりません。(その3ヶ月を熟慮期間といいます) その間に、被相続人名義の不動産を売却したり、預金を私かに使ってしまったりすると、単純承認したとみなされますので、ご注意ください。
単純承認とみなされるのは、売却等、相続財産の処分行為に限られます。同居していた夫が亡くなり、相続人である妻が夫名義の公共料金の支払いをした、葬儀費用を預金から支払った(戦前の判例あり)などは財産の処分には該当しません。なお、家屋の修理、短期の賃貸借、使用貸借なども管理行為になりますので、処分には該当しません。

TOPへ
 2006.1.6 (金) 法定単純承認

人が亡くなって相続が開始すると、相続人は亡くなった人の権利も義務も全て承継するのが原則です。しかし、亡くなったこと、相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内であれば、相続放棄、限定承認を選択することもできます。なお、民法上、単純承認とみなされる場合として921条に下記の三つの場合が規定されています。
1.相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき
2.3ヶ月の熟慮期間内に限定承認または放棄をしないとき
3.限定承認または放棄をした後でも、相続財産の全部または一部を隠匿し、ひそかにこれを消費し、または悪意でこれを財産目録に記載しなかったとき
TOPへ
 2005.12.27 (火) 改製原戸籍

数年前たとえば、婚姻届けを出す時に見た自分の戸籍と、今日取った戸籍の様子が違うことがあります。平成になってから、戸籍が電算化され作り直されているからです。以前は縦書きでB5あるいはB4の用紙でしたが、最近はどの役所でもA4の横書きになっています。(まだ電算化されていない地域もあります)
この作り直しにあたり、その時点で死亡や婚姻でこの戸籍から除かれていた人は、新しい戸籍には移記されていません。ですから兄妹でも婚姻でその戸籍から出ていた人は、新しい戸籍には書かれていません。このように、法律の改正(今回は電算化)により新しく作り直される前の戸籍を改製原戸籍といいます。

TOPへ
 2005.12.20 (火) 本籍地
 
車の免許を取ったり進学や就職の時の提出書類として戸籍を取ることがあっても、親御さんが取ってくだされば、自分の本籍地(戸籍のおいてある場所)を意識しないまま過ごす方もいます。本籍地は住所とは違います。もし、自分の本籍地が分からない、あるいは忘れた、という場合は、免許証をお持ちなら書いてありますから確認することができます。免許証がなければ、自分の住民票を、「本籍地も記載してください」と言って取って下さい。それで確認できます。言わないと本籍地は省略されます。

TOPへ
 2005.12.12 (月) 委任契約

母の預金を娘が引き出しに行ったが、払戻に応じてくれなかったというケースを耳にしました。通帳と印鑑があっても本人名義でない預金の払い戻しについては、金融機関は慎重です。母親が認知症などであれば、窓口で成年後見制度の利用を勧められると思います。このようになると、時間も費用もかかります。
元気なうちであれば、娘さんとの間に公正証書による委任契約を結んでおくことにより、金融機関の手続きの代理をお願いすることができます。認知症に限らず、足腰が弱くなり外出するのが億劫になったり、病気の後遺症で字が書けなくなることもあるかもしれません。イザとなった時に慌てないように、皆さんでアドバイスしましょう。
TOPへ
 2005.12.05 (月) 相続人の妻と遺産分割

夫・太郎の父親が亡くなっても、養子縁組をしていなければ妻・花子に相続権はありません。花子は相続人ではありませんので、遺産分割協議に参加する資格もありません。
しかし、例えばその父親が晩年病気がちで、いつもその面倒を看ていたのが花子であれば、花子の慰労金も含めて夫・太郎の相続分を多くしても良いでしょう。
また、墓地や墓石の購入費用も、相続人全員で負担することとし、予め相続財産から差し引いて、残金を分割しても構いません。要は相続人の皆様で話し合いが付けば、どのような分け方をしても構わないということです。
注:相続税が課税されるケースでは分割の仕方により納税額に差が出ることがありますので、専門家にご相談下さい。
TOPへ
 2005.11.28 (月) 遺産分割協議書

ごく普通のご家庭であれば、亡くなった人の主な遺産は預貯金と不動産でしょうか。例えば、お父さんが亡くなって相続人は、母と長男・長女。争いもなく遺産分けが行われれば、何がなんでも遺産分割協議書を作成しなければならない、というものではありません。預貯金は各金融機関に相続用の手続き用紙がありますので、それに記入して払い戻す事ができます。金融機関ごとに用紙は異なりますので、全て取り寄せて手続きをします。不動産も法定相続割合で相続人の共有にすれば、分割協議書は不要です。
しかし何年も経ってから兄妹の一人が、お父さんの遺産分けをしてもらってないと言い出したり、お兄さんだけたくさんもらって私は不満だった等という話しが出てこないとも限りません。そのような時のために、協議した内容を文書にしておくとよいかもしれませんね。
TOPへ
 2005.11.22 (火) 相続放棄のための戸籍の取得

裁判所で相続放棄の手続きをする時には、亡くなった方との関係が分かる戸籍謄本の提出が必要です。
例えば、Aさんが亡くなった。借金が多かったので、第一順位の相続人であるAさんの子は相続を放棄した。次に相続人になるのは、第二順位である亡くなった方の父母。父母も亡くなっていることを戸籍で確認して、第三順位の相続人、つまりAさんの兄妹に相続権が移ります。では、Aさんに異父兄弟B、Cがいたらどうでしょう。Aさんは母の連れ子ですので、Aさんの実父も亡くなっている事の記載のある戸籍を取る必要があります。(Aさんの実父が再婚して、他に子があれば、Aさんの兄妹として相続人になります。) B、CとAさんの実父は血縁関係にありませんから、B、Cが戸籍を取る時には、役所の窓口で必要な理由をよく説明する必要があります。ちょっと大変かもしれません。
TOPへ
 2005.11.19 (土) 亡くなった人が連帯保証人になっていた

判例によれば、相続人は法定相続分に応じて分割した額の債務を当然に承継します。
例えば、お父さんは長男の事業資金借入の際、お父さん名義の土地を担保に入れ連帯保証人になっていた。そのお父さんが死亡。相続人は、妻と二人の子ども。この場合、債権者から請求があれば、その相続分に応じた額を負担しなければなりません。
実務ではどうでしょうか。まずお父さんが連帯保証人になった理由を考えます。また、長男の現在の返済能力を再考します。その上で、その土地を相続した人に、あらたに連帯保証人になってもらう、また、返済が進んで借入額も減少しており、長男の返済能力にも心配がなくなった・・となれば、保証人免除もあります。このように総合的に判断しますが、借入先によっては対応が異なることがあるかもしれません。
TOPへ
 2005.11.09(水) 寄与分

民法904条の2に寄与分に関する規定があります。寄与分として認められるものとしては
1.亡くなった人の事業に対する労務の提供
2.亡くなった人の事業その他財産形成に関する財産上の給付
3.亡くなった人に対する療養看護
などがあります。自営業ではなく一般的なサラリーマンのご家庭であれば寄与分として 「3」 が問題になるケースが多いと思いますが・・・同居して長男がずっと面倒をみていた場合でも、親族として当然なすべきもの、子どもとしての法的または道義的扶養の義務の範囲内と認定されると寄与分は認められません。(通常の療養看護であれば寄与分としての認定は難しいようです)
ただし、以上は調停・審判などになった場合の話しです。相続人の皆様でお話し合いがまとまれば、「長男が一番面倒をみたから、その分相続分を多くしましょう。」と、することは可能です。
TOPへ
 2005.10.31 (月) 相続しない

複数の相続人の一人あるいは何人かが、「私は亡くなった人の財産は一切いらない」・・つまり、相続しないという時は、遺産分割協議においてその主張をすれば足ります。
民法で規定されている「相続放棄」の手続きは亡くなった人に莫大な借金があった等、相続する財産よりも、相続する借金が多い時にする手続きです。受理されれば、初めから相続人ではなかった事になりますので、亡くなった人の借金を背負う必要もありません。
「相続放棄」をすることにより、相続人の構成、相続分も異なってきますので、注意が必要です。若貴騒動?では、お兄さんが相続放棄の手続きをしましたが、特別な事情があったのだと思われます。稀なケースです。
TOPへ
 2005.10.22 (土) 相続と時効
 
「相続には時効がありますか?」というご質問もよくあります。相続そのものには時効はありませんが、あまり長い間ほったらかしにしておくと、相続財産が消えてなくなってしまう事も・・・考えられます。
例えば相続財産である土地に、他人が何十年も住み続けていれば、こちらが相続財産だと主張しても、相手は「時効だから私の物だ!」と主張する事もできます。また、預金債権は10年で時効になるので、払戻を受けられなくなることも考えられます。(実務上は払戻には応じるでしょうが、お互いに手続きが大変です)
話し合いがまとまらず、長引きそうな時でも、管理だけはきちんとしておく必要があります。
TOPへ
 2005.10.14 (金) 印鑑を押し間違えたら・・

遺産分割協議書をお送りして署名捺印をお願いすると、「印鑑」を押し間違えた(実印→三文判など)のだかどうすればいいか・・と聞かれる事があります。この質問は意外と多いのですが、答えは簡単です。間違った方を二重線で消して、その脇に正しい印鑑を押して下さい。また、押し損ねて半分しかきれいに写らなかったという場合、上から上手に重ねてはいけません。隣にもう一度押し直してください。印鑑を二重に押すと、最初に押した印を後の印鑑で消したことになりますから、二重押しは気を付けて下さい。
添付した印鑑証明書の印影と、押した印鑑が、同一であるときちんと分かるように上手に押して下さい。
TOPへ
 2005.10.08 (土) 遺留分

自分の財産を誰にどのように引き継がせたいか明確な考えがある方は、遺言を残しておく必要があります。法的に有効な遺言であれば、遺言を書いた人が亡くなったと同時に、その財産は遺言どおりに分割されることになります。
しかし、相続人となる人の中には「遺留分」という遺産に対して法的な請求権を持つ方もいますので、その方々が権利を主張してきた場合、遺言を書いた人の考えどおりに分割されないことがあります。
遺言をお書きになる時には、余計な紛争の火種を作らないようにこの「遺留分」にも配慮する必要があります。
TOPへ
 2005.10.05 (水) 贈与税の配偶者控除

遺言を書く時に、夫は妻の老後を心配してくれるはずです。(・・して欲しいものです)「俺が死んだら不動産は妻に相続させる」でもかまいませんが、贈与税の配偶者控除を使えば、元気なうちに非課税で妻名義にすることもできます。
婚姻期間20年以上の夫婦であること、居住用の不動産であること、または居住用不動産を取得するための資金であることが条件となっています。控除額は2,000万円。基礎控除と合わせると、その年は2,110万円まで非課税で贈与できます。同じ配偶者の間では一生に一度しか適用を受けることができません。遺言と併せて、このような方法もあることを覚えておくといいですよ。
TOPへ
 2005.09.30 (金) 相続税と相続放棄

相続税の基礎控除額は、 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数 で計算します。ここでいう法定相続人の数には、家庭裁判所で相続放棄の手続きをした人も含まれます。
例えば、配偶者のいない父親が亡くなって、兄弟二人が相続人になった。負債があったわけではないが、兄は家庭裁判所で相続放棄の手続きをした。相続放棄をすると初めから相続人でなかった事になりますが、相続税の基礎控除は兄が相続放棄をしても、7,000万円です。7,000万円を超えた部分につき課税されますので、相続した弟が相続税を払うことになります。
TOPへ
 2005.09.26 (月) 公正証書遺言と遺言執行者

公正証書遺言であっても金融機関は相続預金の払い戻しには慎重なようです。特に高齢になって判断能力が衰えてきてからの遺言であったりすれば、公証人が読み聞かせて遺言者がそれに頷いたとしても、きちんと理解できていたがどうか・・・相続人がその遺言の有効無効を争うこともあります。 同じ相続人でも相続分のあるAと無いBがいる場合、Aは金融機関に対して、「払い戻ししてくれ」といい、Bは「払い戻しするなら損害賠償を請求する」と言うかもしれません。
遺言者の意志をきちんと相続人に伝えるためにも、相続人以外にも遺言執行者を決めておいた方が良いのかもしれません。
TOPへ
 2005.09.20 (火) 成年後見申立て

相続人の中に認知症などの理由により、ご自身で的確な判断ができない方がいらっしゃる場合、法定後見制度を利用する必要があります。後見人(あるいは保佐人、補助人)が本人に代わって、あるいは本人を助けながら遺産分割協議に参加します。
申立ては具合の悪い方の住所地を管轄する家庭裁判所です。まず、「成年後見申立ての手引き」をもらって来て下さい。もらう時に制度についての説明がありますので、よく聞いて来て下さい。時間がないという方は郵送でも取り寄せることができます。返信用封筒(A4サイズ)に390円の切手を貼り請求して下さい。
TOPへ
 2005.09.14 (水) 遺産分割調停 → 審判

相続人の皆様で話し合いがまとまらないと、家庭裁判所の調停を利用します。申立ての際には、申立書、遺産分割現金目録、建物目録、土地目録、当事者目録、戸籍、住民票、登記簿など必要な書類がたくさんあります。調停でも話し合いがつかないと、次は審判になりますが、その際には調停資料とともに移行されますので、あらたな申立ては不要です。(調停の申立ての時に、遺産分割の審判の申立てがあったものとみなされるため) しかし、裁判官が判断するために、別の資料の提出を要求されることはあるようです。
TOPへ
 2005.08.31 (水) 継親子

戦前の民法では、例えば、先妻が亡くなってお父さんが後妻さんを迎えた場合、先妻の子どもと、後妻さんの間に法的な親子関係が自動的に作られました。これを継親子関係といいます。
現在の法律では、後妻さんと先妻のお子さんとの間で養子縁組をしないと、親子関係は生じません。
昔の知識がある方の中には、今でも自動的に親子になると思っておられる方がいます。新民法では相続権がない、と知ってびっくりなさったり、安心したり・・・ 
養子縁組をしないと、子どもからみれば「父の配偶者」、後妻さんからみれば「配偶者の子」という関係でしかありません。
TOPへ
 2005.08.27 (土) 遺言を作成するとき

遺言を作成する時には、後に残る人々の事を十分考えることはもちろんですが、遺言者が亡くなった後の状況の変化も予測する必要があります。
例えば、二世帯住宅を建てた方が、自分が亡くなった後、妻の面倒を息子夫婦に任せたいと考え、息子に相続させる遺言を残します。遺言者が亡くなった後、妻は安心してその家で暮らせる予定です。しかし、息子が妻より先に亡くなってしまったらどうでしょう。息子に子がいれば妻には全く相続権がありません。妻は嫁名義になった家で肩身の狭い思いをするかもしれません。また、嫁が再婚する事もあるでしょう・・・ドラマのようですが、そこまで考えて遺言を作成する必要があります。
TOPへ
 2005.08.13 (土) 相続手続きが複雑になるケース

ある人が亡くなった時に、その遺産を引き継ぐ手続きをしようとしたが、色々な事情があってできなかった。いつかやろうと思っていたが・・気が付いたら20年経っていた・・。そんなに珍しい話しではありません。
例えば親が亡くなった時に、その相続人である子が働き盛りの年齢で、その相続手続きのために時間を取れなかった。いつかやろうと思い続けて、定年になってからやっと手続きをする。その時、その兄弟の中で亡くなった人がいると、その妻や子が相続人として登場してきます。また、相続人は自分の兄弟だけだと思っていたが、実は前妻の子がいた。子といっても高齢で数年前に亡くなっており、その妻や子どもまでが相続人として登場してくる。
このように長く放置していると、相続人が亡くなってしまうことがあり相続の権利のある人がドンドン増えていきます。手続きはお早めに。
TOPへ
 2005.08.10 (水) 養育費と扶養控除
 
離婚したお父さんが子どもの養育費を払っている場合、お父さんの扶養親族とし、所得税の扶養控除の対象とする事ができます。しかしその子が前妻の扶養親族になっていればダメですので、親同士で話し合って決める事が必要です。(養育費の負担・国税庁HPは→こちら
子どもがいて離婚する場合、養育費についてきちんと取り決めるのはもちろんですが、多額の養育費を支払うような場合は、どちらの扶養に入れるのかも決めておいた方が良いと思います。
TOPへ
 2005.08.01 (月) 遺言書キット
 
先日、朝のNHKの番組で、松本市のNPO法人が作成している遺言書キットが人気を集めていると紹介されていました。→こちら
亡くなった人が遺言を残していなければ、法定相続分に従って、あるいは相続人の話し合いで遺産分割をしますが、分割に伴うトラブルが増加しているのは、家裁に申立てられた遺産分割調停の数の増加からも明らかです。
法的に有効な遺言があれば防げるトラブルもあります。しかし良かれと思って書いた遺言に不備があると、その遺言は無効だと主張する相続人も出てくるかもしれません。形式要件を満たしたうえで、
1.自分の相続人が誰になるのかきちんと把握すること
2.遺留分のある相続人もいる事を考慮すること
3.配偶者と子があれば、次の相続まで考えて
等に配慮する必要があります。
TOPへ
 2005.07.25 (月) 実態と異なる戸籍の届出

現在の出生届には同一用紙内に出生証明書が併存し、医者の証明が添付されます。このようになったのは、昭和23年からです。ですから、それ以前の出生届においては事実ではない届出もあったものと推察されます。未婚の娘が産んだ子を、世間体を気にして、娘の弟や妹(父母の子)のように届けてあるのは、そう珍しい話しではありません。
事実でない届出は訂正されるべきですが、長い間安定している身分関係を覆す必要があるかどうか・・ 争いを法廷まで持ち込まなくて済むような場合、亡くなった方、事実と異なる届出をした方のお気持ちを考えながら、話し合いにおいて相続分で調整するなどの必要があると思います。
【譲られた子、実子と届出 最高裁遺産相続に道】→asahi.com
TOPへ
 2005.07.23 (土) 夫の財産・妻の財産

相続税には基礎控除があるので、普通はそう心配しなくても構いません。(相続税が課税される相続は全体の5%ほど)
相続税の計算をする時には、その名義財産の確認も必要です。例えば、夫が亡くなったとします。妻は専業主婦でしたが、かなりの財産がありました。何らかの理由がなければ、「妻の財産」としての裏付けができません。元をただせば夫の財産、ということであれば、相続税の対象となります。以上は相続税の話し。妻名義の財産が、元をただせば夫の財産であったとしても、遺産分割の対象になるでしょうか。共同相続人の間で、そういう話題になるような状態であれば、そうとう揉めていると思われます。最終的には家裁の調停や審判を利用せざるを得ないと思いますが、私は故人の意思は尊重されるべきだと思います。
TOPへ
 2005.07.15 (金) まとまらない相続

二子山親方の遺産相続を巡ってマスコミが賑やかだと思っていたら、今日は5年前に亡くなったミヤコ蝶々さんの相続も持ち上げられていた。蝶々さんの場合は、お子さんがいらっしゃらなかったので、4人の兄弟姉妹が相続人となるケースだが、昼のテレビでは、その相続分について、どう考えても「?」となるような解説をしていた。話し合いがまとまれば、どのような分け方でも構わないのだが、法定相続分に従えば異父兄弟でも異母兄弟でも平等に相続するので、その相続分は1/4ずつになります。
「死んだ後の事は知らない、勝手にやってくれ」 と天国から見守るのもそれはそれでいいと思います。ただ、誰が相続人になるのか、法定相続に従えばどんな分け方になるのか、ちょっと考えておくのもいいかもしれませんね。ご相談お待ちしております。→ここ
TOPへ
 2005.07.09 (土) 先祖供養

法的には「家」を継ぐという概念が無くなったとはいえ、現実問題として誰が先祖代々の墓を守り、供養をするかが問題になることがあります。私は二人姉妹の長女で結婚により姓が変わりました。妹も同様です。亡くなった両親の供養は、故郷に住む妹が執り行っています。昔であれば、私が婿養子をとって姓を継いで・・だったのでしょうが。
親が亡くなった後に誰が墓守や年忌法要をするのか、揉める事も少なくありません。遺産分割協議にあたり、先祖供養にかかる精神的な負担や費用等も含めて協議できれば一番いいのですが、平和な協議ができないかもしれないという関係にある場合には、常識さえ通じないこともあります。
一番いいのは、先に行かれる方が、誰にどのように供養させるのかその意思をはっきり残しておかれることです。ただし、遺言という形で残しておかないと、法律は何もしてくれません。
TOPへ
 2005.06.30 (木) 相続する・しない

例えば、親が亡くなると子は当然に遺産を相続しなければならないのか・・というと、そうではありません。
戦前、「家」を相続していた時代は、戸主が亡くなれば長男は必ずその家を継がなければならない、と決められており(家督相続)、放棄することは許されていませんでした。しかし、現代は、法律上は「家」を継ぐという概念はありませんので、長男であろうが次男であろうが、親の遺産を引き継ぐ(相続の承認)、引き継がない(相続の放棄)という選択をすることができます。
資産より借金(負債)が多いようであれば「相続放棄」「限定承認」という手続きがあります。
TOPへ
 2005.06.17 (金) 死亡危急時の遺言

民法976条で、臨終に際しての遺言の方法が決められています。例えば、入院中の病院で急に具合が悪くなった、言い残しておきたい事がある・・そういった時のためのものです。証人3人以上の立ち会いの下に、遺言をする人が口頭で内容を告げる。証人の一人がそれを筆記し、全員に読み聞かせる。内容に間違いがなければ、その場で証人が署名捺印する。その後、家庭裁判所での確認を得て、有効な遺言となります。身の回りで、もしもの事があった時、この方法を覚えておかれると、亡くなった方の最後の意思である、「有効な遺言」を作成するお手伝いができます。
ちなみに、この家庭裁判所で行われる「確認」の件数ですが、司法統計によると平成15年は年間99件、平成11年は89件でした。
*自筆証書遺言は、家庭裁判所での「検認」が必要となりますが、この件数も平成11年は9,819件だったのが、平成15年には、11,364件になっています。

TOPへ
 2005.06.14 (火) 離婚と住宅ローン - 2

抵当権が付いていても、不動産の名義(所有権)を、妻に変更することは、可能です。問題は残っている住宅ローンをどうするかです。
1.夫が残りのローンを一括返済する
夫に資力がないと無理ですね。
2.妻の名前で借り換える
妻に返済能力がないと、ローンは組めません。
3.今後も夫が払い続ける
返済が滞れば、抵当権が実行される可能性があります。
4.売却する
売却してもローン残債が残る可能性があります。
5.賃貸する
うまく借り手が見つかればいいのですが。
*「こうした方が良い」という上手な方法はありません。住宅ローンをコツコツと払い続けていれば、普通は金融機関から文句を言われることはありません。余談ですが、離婚後の生活を保障するようなもの・・離婚保険・・ってあるといいのに。「離婚保険付き住宅ローン」なんていいと思いませんか。
TOPへ
 2005.06.08 (水) 離婚と住宅ローン - 1

その昔、私がOLだった頃、婚約者と一緒に住宅ローンのご相談に見えた方がいまして、今と違って純粋な乙女だった私は、「シ・ア・ワ・セッ」ってこういうものなんだぁ〜と妙に感激したのを覚えています。
さて、その住宅ローンですが、もし二人が離婚する場合はどうなるのでしょうか。購入した不動産はどうなるのでしょうか・・・
不動産の名義は夫、住宅ローンも夫の名前で申し込み、返済しているとします。離婚するにあたり、財産分与として、この不動産を妻名義に変えたいと思います。抵当権が付いていても、名義は変えることができます。分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の価額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合を除いて、贈与税や不動産取得税の対象にはなりません。
では、住宅ローンはどうしましょうか。住宅ローンを借り入れる時には、「申込者本人が所有し居住すること」が条件になっていたはず・・・
TOPへ
 2005.06.06 (月) 高齢者の恋愛と入籍 - 4

回避する方法
1・後妻のA子さんと、養子縁組をする。
養子縁組することにより、相続でも実子と同じ扱いになります。
2・A子さんに「遺言書」を書いてもらう。
不動産について「遺贈する」旨の遺言書を作成してもらい、亡くなった後、遺言どおり執行します。(ただし、遺言はA子さんの自由意思に基づく必要がありますので、A子さんに強制はできません。)
3・A子さんと不動産について、死因贈与契約を結んでおく。
4・遺言と死因贈与契約の両方を組み合わせる。
公正証書で遺言を作成しておけば、不動産の登記もスムーズです。
TOPへ
 2005.06.01 (水) 高齢者の恋愛と入籍 - 3

A子さんの相続を考えてみましょう。A子さんのご両親も既に亡くなっています。A子さんには実子もなく養子もなかったとすれば、A子さんの相続人となるのは、A子さんの兄妹となります。お父さんが亡くなるまで暮らしていた実家は、後妻であるA子さんのご兄妹に相続する権利が発生します。そのご兄妹がとても心優しい方々で、「そちらで相続して下さい。」と言ってくださっても、相続権がないのでできません。その場合、売買あるいは贈与となります。場合によっては課税されますね。
回避する方法は・・・次回に続く・・・
TOPへ
 2005.05.29 (日) 高齢者の恋愛と入籍 - 2

父の相続人となる人は、子と配偶者です。法定相続分に従えば、後妻であるA子さんが1/2、、子どもたち全員で1/2となります。残された遺産に不動産があったらどうでしょう。後妻であるA子さんが、心優しい人で父のために尽くしてくれた方であれば、A子さんにそのまま住んでもらい、不動産の名義もA子さんにしてあげたい・・・と思います。しかし、A子さんが亡くなった時、その不動産はどうなるでしょうか。
次回に続く・・・
TOPへ
 2005.05.23 (月) 高齢者の恋愛と入籍 - 1

例えば、妻を亡くした高齢の父に寄り添ってくれる女性A子さんが現れたとする・・妙に若返る父。 泣いてばかりいられるよりは安心だが、何が心配って、「父の財産」目当てではないか・・と心配するのは、子として当然の気持ちです。父が身ぐるみはがされて捨てられたら・・と思うと夜も眠れないかもしれません。入籍したいと言い出したら、家族会議です。ここで二人の愛が本物であると確認できれば、めでたく婚姻届となるわけですが・・・。 もし、はれて妻になったA子さんより先に父親が亡くなったら、父の財産はどうなるでしょう。次回に続く・・・
TOPへ
 2005.05.13 (金) 死因贈与契約

面倒をみてくれた人に財産を残したい・・・まず思い浮かぶのは、遺言ですが、死因贈与契約でも特定の人に財産を残すことができます。
死因贈与契約では、「私が亡くなったらこの財産をあなたにあげる」「はい、分かりました」という、二人の合意が必要です。遺言は書く人の一方的な意思表示です。ですから、開けてびっくり、の事もありますが、死因贈与契約は内容を知って契約する、その点が大きく違います。
私の介護をしてくれるのなら預金をA子さんに・・、入籍できない内縁の妻に不動産を残したい・・ 契約書を作成して両者が署名捺印します。不動産の場合、仮登記をすることもできます。
TOPへ
 2005.05.01 (日)  贈与・相続時精算課税制度

110万円を超えて贈与を受ければ、贈与税が課税されます。しかし、相続時精算課税を選択すれば、2,500万円まで( 枠の範囲内であれば複数年で何度でも贈与できる )は贈与税はかからず、超えた部分に対しては一律20%の税率となります。
この制度を利用できるのは、贈与者は65歳以上の親、受贈者は推定相続人である20歳以上の子どもという条件があります。
節税というより、高齢者の保有する財産を次世代に移転させやすくする制度です。
TOPへ
 2005.04.23 (土)  三年以内の贈与財産
 
元気なうちに贈与していた財産でも、死亡する前三年以内のものは、亡くなった人の相続財産にプラスして相続税を計算することになっています。
例えば、1,000万円を妻名義の預金にした夫が、その一年後に亡くなったとすると、その1,000万円は夫の相続財産として、相続税の課税の対象となります。納付済みの贈与税があれば、その額は一定の割合で相続税から控除されます。心配であれば、税理士さんに相談してみましょう。
TOPへ
 2005.04.11 (月)  土地・・路線価を使って評価

相続や贈与の場合取得財産の評価は、取得時の時価によるとなっています。しかし、時価には、実際に取引されている価格(実勢価格)、国土交通省が発表する公示価格 →ここ、 都道府県が発表する基準地標準価格(東京都財務局)、固定資産評価額(東京都主税局)などいろいろあります。価格もバラバラです。
このような格差をなくし時価算定の統一を図るため相続税を計算する時には、土地の場合、路線価を使うことになっています。路線価は毎年8月に国税庁が発表します。→ここ 
TOPへ
 2005.04.05 (火)  相続税の計算の流れ

相続税額は下記の四段階によって算出されます。
1.課税価格の計算
2.相続税総額の計算
3.各人の相続税額の計算
4.納付税額の計算
国税庁のホームページに、相続税の申告手続き、申請書様式・記載要領がアップされています。→こちら
TOPへ
 2005.3.31 (木)  相続税のかからない財産

財産価値のあるものは相続税の対象となりますが、墓所、墓石、仏壇など、また、国や公益法人等への寄付は相続税の対象となりません。
墓地や墓石はかなり高額ですので財産的な価値がありますが、処分してお金に換えるという性質のものではないので、それに対してまで相続税はかけない・・ということのようです。ただし、投資のために買った仏像などは課税の対象となります。
従って、生前に墓地や墓石を買っておけば相続税の節税になる、とよく言われます。
TOPへ
 2005.3.27 (日)  みなし相続財産
 
相続(人が亡くなって遺産を引き継ぐこと)を原因として取得したものではないが、その人(被相続人)の死亡を起因として取得されるものは、税法上相続財産に含めて計算することになっています。これをみなし相続財産といいます。
代表的なものとしては、死亡した人が掛け金を負担していた生命保険金、死亡退職金があります。(ただし、そのうちの一定額は非課税となります。)

TOPへ
 2005.3.23 (水) 相続税のかかる財産、かからない財産

相続(遺贈・死因贈与も含む)により取得した財産は相続税の対象となります。 生命保険金や死亡退職金は、民法上は相続財産ではありませんが、税法上は「みなし相続財産」として、課税の対象となります。このほかに、相続開始前三年以内の贈与財産も相続税の対象として、相続財産に加えることになっています。
また、一般的には財産とみられるものであっても、様々な理由から相続税がかからない財産もあります。


TOPへ
 2005.3.18 (金) 養子がいる場合の相続税の計算

基礎控除は法定相続人の数により変わります。養子縁組をした養子は実子と同様に法定相続人となりますが、相続税の計算をする場合には制限があります。亡くなった方に、実子があった場合は一名、実子がない場合は二名だけが、法定相続人となります。
しかし、養子であっても再婚で連れ合いの子と養子縁組したようなケースは、実子とみなされます。

TOPへ
 2005.3.11 (金) 相続税の課税ライン

遺産を相続したからといって、必ず相続税を支払わなければならないわけではありません。相続税には基礎控除がありますので、遺産の額がこの基礎控除以下であれば、相続税はかかりません。
基礎控除額は
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
という算式で計算します。相続人が子ども二人だと、基礎控除は7,000万円となるので、遺産の額がそれ以下であれば相続税は非課税となります。 なお、法定相続人とは、法律で決まった相続の権利のある人です・・・戸籍できちんと確認する必要がありますね。
TOPへ
 2005.3.6 (日) 相続税

相続という言葉を聞いて、まず頭に浮かぶものの一つに「相続税」があるのではないでしょうか。相続人になる人や法定相続分は、民法という法律の中で決められていますが、相続に関する税金については「相続税法」という別の法律で決められています。見ただけでうんざりするような条文です。読んで理解しろ・・と言われたら激しく拒絶反応が出そうな・・・。相続税の計算は税理士さんに依頼しましょう。
でも、親が亡くなったら相続税がかかるのだろうか・・そういう心配は誰にでもあるはず。次回から簡単に、相続税について説明します。
TOPへ
 2005.2.22 (火) 相続人となれる人3

養子は実子と同じように相続する権利があります。再婚した相手の連れ子と養子縁組をすれば、その子にもあなたの財産を相続する権利が発生します。
年を取ってから老後の世話をしてもらうために養子縁組をすることがありますが、その場合、養子が養親より先に亡くなってしまったら、縁組み前に生まれていた養子の子には、代襲相続する権利はありません。
TOPへ
 2005.2.15 (火) 相続人となれる人2

代襲(だいしゅう)相続という言葉は皆さんよくご存知だと思います。おじいちゃんがいて、息子がいて、孫がいるといった場合、息子がおじいちゃんより先に亡くなってしまったら、孫がおじいちゃんの相続人となります。この場合、息子のお嫁さんは相続人となりません。
亡くなった人の遺産分けをしないまま、長く放置しておくと、相続する権利のある人が死亡してしまう場合があります。その場合、後から亡くなった人の「相続人としての地位」が相続されることになりますから、ややこしいことになります。お嫁さんにも相続する権利が発生することがあります。
TOPへ
 2005.2.9 (水) 相続人となれる人1

亡くなった人の財産を受け継ぐ権利のある人を相続人といいます。民法という法律の中に、相続人となることができる人の範囲が定められています。(民法886条〜
「親戚」というとおじさん、おばさん、義兄弟姉妹、従兄弟にハトコ・・など多数に及びますが、「相続人」になれる人は、その中のごく僅かです。
まず配偶者は必ず相続人となります。次に亡くなった方に子どもがいれば、その子も相続人となります。
子どもがいない時は、配偶者と亡くなった方のご両親、ご両親が亡くなっていれば、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人となります。
TOPへ
 2005.2.5 (土) 特に遺言を残した方が良い方 3

お父さんが亡くなり戸籍を調査して、初めて異母兄弟がいたことが発覚することがあります。子であれば長い間交流がなくても亡くなったお父さんの遺産を相続する権利がありますので、不動産の名義を変えたり、預貯金の払い戻しをしたりする時には、その子の同意が必要です。
遺された相続人は、ちょっと大変な思いをするかもしれませんね。遺言書が一枚あれば、そのような心配は不要となります。
なお、お母さんの場合も同じです。産んですぐ養子に出した・・というような場合も、その子はお母さんの相続人となります。
TOPへ
 2005.1.26 (水) 特に遺言を残した方が良い方 2

民法では血のつながりを大事にします。子どものいないご夫婦が亡くなった場合、遺された夫・妻は、亡くなった人の兄弟と遺産の分割について話し合いをしなければなりません。法定相続分は、妻が3/4、相手の兄弟が1/4です。割合が少ないといっても、不動産の名義変更や預貯金の引き出し等にあたっては、兄弟の同意が必要です。戦前のお生まれの方は、時代背景もあり兄弟の数が多いです。そのうえ、他に兄弟がいないか探す必要がありますので、亡くなった方のご両親の結婚歴まで調べる必要も出てきます。
遺された夫・妻に、大変な思いをさせないためにも、遺言書を作成しておいて下さい。
TOPへ
 2005.1.19 (水) 特に遺言を残した方が良い方 1

あなたの残した財産を、相続できる人は法律により決められています。母思いのAさんはもうすぐ50歳に手が届く男性です。非常に優しい方ですが、まだ結婚していません。Aさんは一人っ子です。近所に従兄弟の子がいて、自分の子のように可愛がっていますが、もし、彼がこのまま結婚せず、両親が亡くなり自分も・・・となった時、彼の財産を相続できる人はいません。
どんなに可愛がった従兄弟の子でも、遺言がない限り財産を引き継いでもらうことができないのです。何もしないと財産は、国のものになってしまいます。
TOPへ
 2005.1.12 (水) 遺言を残しましょう 

自分で築いた財産を子どもたちに、或いは親戚縁者にどう分けるか、ぜひ書面で残しておいて下さい。あなたにもしものことがあったら、こどもたちは財産を前にして悩みます。子どもたちも結婚して妻や夫を持つ身になると、その連れ合いにも気を遣うものです。
遺言でどう分けるか残しておけば、それはあなたの最後の意思として尊重されます。子どもの中には祭祀を承継する子もいるでしょう、その子に他の子より少し多く残してやることもできます。また、子どもたちの生活状況に応じて加減してやることもできます。お子様が大変な思いをしないように、不動産や預貯金の分け方についてぜひ残しておいて下さい。
TOPへ
 2005.1.5 (水) 遺産分割協議のポイント 

亡くなった人の財産を、誰がどれくらい受け継ぐか話し合うことを遺産分割協議といいます。相続人全員の合意があれば、どんな分割の結果でもかまいませんが、民法906条には遺産分割の基準が規定されています。「.・・・各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」
どうしても話し合いがつかない場合は、法定相続分を参考にする方法もありますが、一番弱い人に財産を集められるように真摯に話し合うことが大事だと思います。また、その結果を正式に遺産分割協議書として残し、後々お互いが嫌な思いをしないようにしておいて下さい。
もし、亡くなった方の有効な遺言があれば、遺産分割の手続きは不要です。
TOPへ
 2004.12.26 (日) 遺言と遺書

遺言(ゆいごん)と遺書(いしょ)を混同している方が、意外と多いようです。言葉は似ていますが、実はこの二つは全く違うものです。
どちらも自分の死を前提に書くものですが、遺書には切羽詰まったお気持ちが記されるのは想像しやすいと思います。かたや、遺言書となると、民法という法律の中に詳細な規定があります。その規定に則った遺言であれば、ご自身が亡くなったと同時に、その遺言通りに財産が分割されます。遺言がなければ、相続人の皆さんで協議して残された財産を分割しなければなりません。
年齢や財産の多寡に関係なく遺言を作成して後の処理を指示し、安心して長生きしましょう。
TOPへ
 2004.12.08 (水) 成年後見申立の際の診断書

申立てをする時に、お医者様の診断書を添付します。これは書式が決まっており、お医者様のために裁判所から「新しい成年後見制度における診断書作成の手引」も出ています。→こちら
具合の悪い方の能力がはっきりせず、補助で申立ていいのか、保佐がいいのか、あるいは後見がいいのか判断に迷った時には、この診断書を参考にすることができます。お医者様に「判断能力判定についての意見」を書いていただく欄がありますので、自己の財産を管理・処分することができないにチェックしてあれば後見、・・・常に援助が必要であるならば保佐、・・・援助が必要な場合があるにチェックがあれば補助と考えて、申立てて下さい。
TOPへ
 2004.11.26 (金) 鑑定人候補者について

後見開始、保佐開始の審判において必ず必要な手続きに鑑定があります。後見等開始の申立書を提出する時に、お医者様の診断書も添付することになっていますが、それとは別に、家庭裁判所が医師に依頼する形で行われます。本人の判断能力がどの程度あるかを医学的に判定するためです。家庭裁判所でも本人の事情をよく把握している主治医に、鑑定の依頼をしているようです。
申立ての前に、主治医と相談して鑑定を引き受けてもらえるか、費用はどれくらいかかるを確認し、申立事情説明書に記入する必要があります。
ちなみに東京家裁の場合、鑑定費用として10万円を予納します。
TOPへ
 2004.11.23 (火) 後見人等候補者
 
後見開始、保佐開始、補助開始の申立をする際、その後見人等になる人を「候補者」として申立てることもできます。ご家族でもご親戚でも、信頼のおけるご近所の方でもかまいません。
しかし後見人の職務は日常の細々とした金銭の出し入れから、財産の処分、療養契約、身上監護と多岐にわたりますので、労力や時間をかなり使います。
そのため本人の財産の状況が複雑であったり、親族間で考え方に違いがある場合、第三者の後見人等が望ましいと裁判所が判断すれば、希望は叶えられないことになります。
TOPへ
 2004.11.17 (水) 申立事情説明書

後見開始、保佐開始、補助開始の申立書を提出する時に、事情説明書も添付します。
申し立ての手続きをどこで知ったか、といった質問から始まって、申し立ての目的、親族は申立てについてどう思っているか、付けて欲しい代理権・同意見またその理由、本人の現在の生活の様子、主治医が精神鑑定を引き受けてくれるかどうか等を詳細に記載するようになっています。
申立てが受理されて開始の審判が出されれば、本人の権限が制限されることになりますので、裁判所は事情をよく把握する必要があるからです。
TOPへ
 2004.11.16 (火) 補助か保佐か後見か

法定後見には上に書いた三つの仕組みがあり、それぞれ保護者の代理権、同意権などに違いがあります。それは、具合の悪いご本人の意思を少しでも尊重するためです。
例えば軽い痴呆であって、代理してやって欲しいことも限定されているような場合は、補助。 痴呆がもう少し進み、やって欲しいことも増えている場合は、保佐。 残念ながら本人にほとんど判断能力が無くなり、包括的に代理した方が良い場合は後見、といった具合です。
自己決定権を尊重しつつ、その人の持っている能力に合わせて、必要な部分だけサポートしようというのが、人権尊重の流れから生まれた新しい成年後見制度ですので、補助・保佐・後見のどれで申し立てをするかは、可能な限りご本人と話し合う必要があります。
TOPへ
 2004.11.11 (木) 後見人の権限

自分で判断することが極めて困難な方(判断能力を欠く常況に在る者)が後見の制度を利用しますから、後見人になる人の権限も、補助、保佐よりも一層強くなっています。
補助や保佐の場合の代理権は特定の法律行為に限定されていましたが、後見の場合は、財産管理、生活、療養看護の全てに渡って包括的に代理権が与えられています。また、日常生活に関する事柄(日用品の買物など)を除いて、追認権、取消権が与えられています。被後見人が単独でした契約などは、後見人が追認しないと有効にはなりません。(業者の方、ご注意ください)
後見開始の申し立て記載例
TOPへ
 2004.11.04 (木) 保佐人の権限

保佐人も、同意権(取消権)または代理権という権限を使って本人の財産管理を行いますが、同意権(取消権)の対象となるのは、民法12条に記載されている行為の全部に及びます。(補助人は一部でした)それだけ援助を必要としているのですね。
代理権は補助人の場合と同様に、本人の申し立てか本人の同意を前提として、特定の法律行為について付与されます。 →保佐開始の申し立て記載例
*「民法第12条第1項に規定されている行為については、申し立ての必要はありません。」と丁寧に注意書きがしてあります。
TOPへ
 2004.10.29 (金) 補助人の権限

補助人は、同意権(取消権)または代理権という権限を使って本人の財産管理を行います。
同意権(取消権)の対象となるのは、民法12条に記載されている行為の一部です。同意を得ずして行った法律行為(契約など)は、本人あるいは補助人が取り消すことができます。
代理権は特定の行為について、家庭裁判所から付与されます。これは民法12条に記載されている行為に限られません。遺産分割協議に代理人として参加したり、不動産を有効活用するために契約する場合など、申立により代理権を付与してもらうことになります。→補助開始の申し立て記載例
TOPへ
 2004.10.28 (木) 三つの成年後見制度

法定後見では本人の精神的判断能力の程度に応じて、補助・保佐・後見の制度が導入されています。
援助の必要が小さい順から、補助<保佐<後見となり、下のような関係になります。
     
それぞれ家庭裁判所の【補助・保佐・後見】開始の審判が必要です。
なお、自己決定権を尊重しつつ、補足する部分を必要なだけ援助しましょうという観点から、【補助・保佐・後見】人のそれぞれの同意権・代理権・取消権には大きな違いがあります。
TOPへ
 2004.10.22 (金) 後見人の仕事

後見人の仕事は、財産管理と身上監護に分かれます。成年の後見人は、成年被後見人の意思を尊重し、かつその心身の状態および生活の状況に配慮しながら、生活、、療養看護、財産管理に関する事務を行わなければならないと規定されています。(民法858条)
後見人に選任されたら、財産目録を調製し、善良なる管理者としての注意義務を尽くしながら、その財産を管理しなければなりません。また必要な医療を受けさせるなど、被後見人の財産を適切に利用して、必要な介護を給付できるように用意しなければなりません。
例えばホームヘルパーさんなどと契約をして、適切な介護がなされるように配慮し、なおかつ介護がきちんと履行されている事を確認し費用の支払いを行うことが後見人の仕事となります。
TOPへ
 2004.10.19 (火) 成年後見

親権者のいない未成年者のために未成年後見人という制度がありますが、その未成年者が成年(20歳)に達すれば終了します。20歳になったのだから自分のことは自分でしましょう・・ということで、保護者は付きません。
しかし、痴呆が進んで判断能力が不十分になった高齢者などは成年に達しているといっても援助が必要です。そのために成年後見という制度があります。平成12年4月から始まっている介護保険による給付は契約によるものですので、成年後見人の援助を受けながら契約を締結することになります。
TOPへ
  2004.10.15 (金) 成年後見制度

加齢に伴う精神的能力の低下は、誰にでも訪れる現象です。従来の民法は本人保護の名の下に、市民社会での取引を制限したり、排除したりすることに重点を置いていました。しかし、自己決定権の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーションという大きな時代の流れの中で、本人保護と合わせて、自己決定権が尊重されるようになり、成年後見制度という新たな制度が導入され、活用されています。
同時に、より本人の意思を尊重するために、任意後見契約法が発効され、任意後見契約制度も新設されました。
TOPへ
 2004.10.03 (日) 代償金の原資

相続税を支払わなければならない相続は、全体の5〜6%です。(国税庁のデータより)
このようにほとんどの方が相続税は非課税となるのですが、亡くなった後、思いがけずお金がかかることがあります。遺産分割の時です。
例えば、相続財産は不動産と預貯金(相続税の非課税範囲内)、相続人は兄と妹とします。不動産の評価額と預貯金の額が同じであれば、不動産は兄、預貯金は妹と話し合いがまとまりやすいでしょう。しかし、不動産の評価額に見合う預貯金がない場合、妹が不足分を請求してくるかもしれません。そのような場合、兄はその不動産を売却するか、或いは自分の預金を取り崩して「代償金」を支払うことになるでしょう。
お葬式代の準備をお考えであれば、もう一歩踏み込んで財産分けへの配慮もすれば、残されたご遺族も更に安心かと思います。
TOPへ
 2004.9.30 (木) 戸籍での死亡記載

戸籍では、人が亡くなると、その死亡の事実、死亡の場所、死亡の年月日・何時何分まで記載して公証します。様々な事情で死亡の時刻が不明な場合は、推定死亡時刻が記載されます。
このように詳細に公証するのは、死亡により相続が開始する、婚姻関係が終了する、その人の代理人の代理権も消滅する、物を無償で借りている関係も終了するなど、重大な変化が生じるからです。
( 誕生の場合は、年月日、出生の場所のみです。)
TOPへ
 2004.9.27 (月) 名義書換の代行サービス

三菱信託銀行は、10月から「お手伝いさん」という新サービスを始めます。これは遺産の名義書換を代行するサービスです。日経の記事は→こちら
さぁ、今日は事務所の営業をしましょう!
実はこういう形のサービス、当事務所では、以前からやっております!→こちら 三菱信託さんみたいに新聞やテレビで宣伝はしておりませんが。(宣伝費がないもので・・・張り合ってどうする・・・^^;)
慣れないと、亡くなった方の戸籍を集めるのも大変です。またその戸籍を解読するのも大変です。仕事が忙しくて時間がない、途中までやったが何が何やら分からなくなった。そんな時はどうぞご利用下さい。
料金は信託さんよりずっと安価に設定してありますが、交渉して下さいね。さあ、コレ読んだあなた、どうぞお隣の方に教えてあげて下さい!
TOPへ
 2004.9.23 (木) 泣く息子

おれおれ詐欺の被害が後を絶ちません。自分はそんな被害に遭わないぞ〜と思っていても、わかりません。今日は身近で起こった私でも騙されそうな話です。
突然電話が掛かってきて、息子さんが事故をおこした、今なら示談金で解決できるので振り込んで下さい・・ここまではよくある話。新種の詐欺師は、電話口に「息子」を出すのだそうです。その息子は気が動転して泣きっぱなし、ろくに話もできません。「泣いてちゃわからないでしょ!」と叱っても、その息子は泣いてばかり。当たり前です、その息子も偽物なんですから。
巧みに親心を利用する手口です。遠くにお子さんを出しておられるお父様、お母様、どうぞお気を付け下さい。
TOPへ
 2004.9.17 (金) 「養子の子」が代襲相続人になる時

子が先に亡くなり、その後、親が亡くなった場合、孫が相続人となります。(代襲相続)
親→子→孫 親からみて子や孫は直系卑属(目下の親族という意味)となり代襲相続人となります。
しかし、養子の子が代襲相続人になりうるのは、養子縁組後に生まれた場合です。(民法887U但書)
養親→養子→養子の子 養子との縁組後に生まれた養子の子は、養親の養孫となりますが、縁組前に生まれていた子は養孫とはなりません。養子縁組の届出前からの養子の血続きの親族は、養親側とは親族にならないからです。(民法727)>
TOPへ
 2004.9.10 (金) 父母届出

赤ちゃんが生れたら出生届です。
この出生届の届出人、戸籍法によりまず「父または母」と決まっています。戸籍を見ると、縦書きの戸籍であれば、○月×日△県◇市で出生○月☆日父届出・・・となっている方がほとんどです。
二人の子どもなのに、父が届出人になれば、母は届出人になれないなんて・・おかしいですよね。そこで実務では、出生届の届出人欄に父母の署名をする(父と母が届けたという意思表示をする)ことにより、戸籍にも【届出人】父母と記載してくれます。
出生届の記載の仕方はこちら・・・これは父のみ届出人になっている場合ですので、父母届出としたい方は、父母ともにチェックして、届出人の署名欄に二人でそれぞれ署名捺印します。狭いですが二段書きでOKです。
あ、それから提出する前にはカラーコピーをお忘れなく。記念になりますよ。
TOPへ
 2004.9.07 (水) 離婚と戸籍

結婚と同時に夫婦の戸籍ができます。離婚すると、筆頭者でない方(ほとんど妻)は、その戸籍から抜けます。一人で新しい戸籍を作るか、親の戸籍に戻ることになります。
妻が出ていってしまった後、夫の戸籍には離婚の記載と、元妻の名前が残っています。このまま再婚すると、元妻の名前の後に新しい妻の名前が載ります。しかし再婚前に転籍すると、離婚の事実や元妻の名前は移記されません。
友人の話で恐縮ですが(掲載の許可済)、再々婚だった友人の夫は、彼女と結婚した時、既に記載事項が多すぎて、戸籍がホチキスで留められていたそうです。更に、彼女とも離婚したのでまた枚数が増えているもよう、と笑い飛ばしていました。 (私の感想 : ある意味、男らしい〜!)
TOPへ
 2004.9.02 (木) 相続税の58条通知

前回に引き続き、市役所の戸籍係の方のお仕事です。
何をするかというと、窓口に提出された死亡届、送付されてきた死亡届について、亡くなった方の相続人を税務署に報告するものです。相続人が複数いる時には全て調べて報告します。併せて、市民税の課税標準額が一定以上の人はその旨も報告されます。
お身内の方が亡くなった後、税務署から「相続に関するお尋ね」と題した書面が届くことがありますが、これはそのためです。税務署は国家から調査権を付与されており、あらゆる方法で相続財産を把握しています。
TOPへ
 2004.8.30 (月) 犯罪人名簿

おどろおどろしい名称です。
行政書士と関係あるの?と思われるでしょうが、たぶん、関係ありません。(・・好い加減ですね)
なぜ、今日この話題にしたかというと、実はこの「犯罪人名簿の作成」が、市役所の戸籍係の方の仕事だからです。罰金以上の刑(道路交通法違反の罰金を除く)を受けた者については、本籍地の市町村役場に保管される犯罪人名簿に一定期間記載されることになっています。一定の職につく資格、選挙権・被選挙権の有無を確認するためのようです。
古い時代にはこの犯歴も戸籍に記載されていたことがあります。もちろん、現在は記載されません。
TOPへ
 2004.8.21 (土) 不動産の相続

誰も住まなくなった不動産を相続する場合、売却し公平に遺産を分配した方が良いのか、共同名義にして共有した方が良いのかケースバイケースです。
売却すれば、現在又は将来おこりうる揉め事を回避できますが、不動産が値上がりした場合、売却したことを後悔することがあるかもしれません。
逆に共有にしておいた場合、不動産が値上がりすれば財産が増えますが、いざ売却となった時に時期や金額について合意をとるのが難しくなるかもしれません。
TOPへ
 2004.8.18 (水) 遺産分割における平等

相続人A,Bがいて、 相続財産として 土地(評価1000万)と預金1000万があったとします。@土地を全く同じ条件で二つに分筆し、銀行預金も500万ずつにする。これを質的平等といいます。これに対し、遺産の評価合計2000万円を等分する、つまりAAが土地を相続してBが銀行預金を相続するという分割方法も考えられます。こちらは価値的平等。
平等意識を満足させるには@の方法、しかし土地が細分化されますから現実的ではないですね。民法には直接的な規定はありませんが、Aの価値的平等をもって足りると考えられています。しかしAの方法でも土地の評価・・土地に経済的優位性があるのかどうか・・・必要な時にすぐ現金化できるかどうか・・悩みますね。
TOPへ
 2004.8.09 (月) そろそろお盆です

亡くなった方々の精霊をお迎えするお盆がやってきます。めったに顔を合わせない相続人の方もお集まりになることでしょう。
遺産分割がまだお済みでなければ、そういう話題が出るかもしれませんね。遺産分割はいつまでにしなければならない・・といった決まりはありませんが、長く放置しておくと、相続人が亡くなったりして複雑になります。分割前の相続財産は相続人全員に管理責任があります。不動産は固定資産税も納付しなければなりませんし、不審火等も心配です。遺産分割協議書の作成は後からでもできますので、お盆に話し合いを済ませて相続手続きを完了する方向に持っていければいいですね。
TOPへ
 2004.8.02 (月) 宅地の評価

本日、国税庁より「路線価」が発表になりました。相続税や贈与税の計算の基になる価格です。
この路線価に宅地の面積を掛け、さらにその宅地の位置や形状によって減算或いは加算をし相続税評価額を算出します。
土地の評価の仕方にはこの他に、「実勢価格」「公示価格」「固定資産税評価額」があります。
その関係は概ね下のようになります。
実勢価格100>公示価格90>相続税評価額70〜80>固定資産税評価額60〜80 
*相続においてその土地をいくらで評価するか、合意の難しいところです。
TOPへ
 2004.7.30 (金) 戸籍の続柄

現在の長男、二男、長女・・という定め方は同一夫婦間ごとに使われます。子どもを連れて再婚したり、再婚後に子どもが生まれたりすると、一つの戸籍の中に複数の「長男」が存在するような場合もあります。
しかし、戦前の戸主制度があった時代には、戸主が再婚して母親が異なっても三男、四男、二女・・・と、生まれた順序で記載されていました。
新しい民法により続柄の定め方が変更になったのです。本来「長男」である方が「二男」と記載されたままであれば、「長男」に訂正してもらうこともできます。 
TOPへ
 2004.7.27 (火) 転縁組

聞き慣れない言葉ですが、それまでの縁組みを解消せず、他の人の養子になることをいいます。
戸籍の名欄にある養父・養母には最新の養親が記載されます。以前の養親は、身分事項に「養子となる縁組届出・・・」と記載されて残っています。
この養父、養母について・・並んで記載されていると夫婦と思いがちですが、この組み合わせは夫婦とは限りません。養子が未成年であっても、実の親子で養父、養母となる場合もあります。ややこしいですね。
TOPへ
 2004.7.12 (月) 裁判所書記官

あらためて聞かれて、答えられない職業の一つでした。調停等の申立てがされると、この裁判所書記官の方のお名前で、照会書や調停期日通知書が届きます。以後、問い合せする時にはこの担当の書記官の方にします。
書記官の仕事は、裁判手続きが円滑に進行するように弁護士、検察官、当事者と打合せをするのは勿論のこと、法廷に立ち会って調書を作成し、法廷でどのような手続きが行われたかを証明する「公証官」としての役割もあるようです。
また支払い督促は、簡易裁判所の裁判所書記官に対して申立てることになっています。(書記官権限)
TOPへ
 2004.6.25 (金) 成年後見人

後見人が必要な人は痴ほう高齢者だけでも数十万人いるが、現在の利用者は三万人に過ぎない。(日経新聞 04.06.24より)
成年後見人は、判断能力が衰えた本人に代わって契約の当事者になります。(判断能力が衰えた人は正しい意思表示ができませんので) その他に、本人の身辺介護や財産管理なども主な仕事となります。
成年後見人が付されると、日常生活に関する行為以外で本人が為した契約などは、場合によっては取り消すこともできますので、ご家族も安心ではないでしょうか。
TOPへ
 2004.6.15 (火) 相続手続きと戸籍謄本

人が亡くなり、ある人が財産を譲り受ける場合、確かにその人が相続人であるか、また他に相続人はいないかを調べる必要があります。(じゃないと、赤の他人でも相続人であるといって預金を下ろしたりできてしまいますね)
相続人であることを確定し、証明するための戸籍謄本ですから、亡くなった人が生殖能力が備わる13歳ぐらいに作成されたものから、死亡の記載のある戸籍謄本まで全てを集めることになり、大変な作業になる場合もあります。
なお、有効な遺言書があれば亡くなった人の戸籍に関しては、死亡の記載のある戸籍謄本だけで手続きが可能です。  
TOPへ
 2004.6.01 (火) 戸籍を郵送で請求する

便せんに、本籍地・戸籍の筆頭者・必要枚数・何に使うか・請求者の住所・氏名・筆頭者との続柄を書いて、手数料分の小為替と返信用封筒を同封し本籍地のある役所へ郵送します。用紙はこれ(→練馬区・戸籍に関する証明書の請求書)を使ってもいいです。
相続などで、被相続人の戸籍を遡って複数請求する時は、その旨を記載し、多めの手数料を同封するという方法もあります。
役所の住所は、→ここで調べられます。
TOPへ
 2004.5.27 (木) 遠方の戸籍

区役所で処理を待っていると、若いお姉さんの、「○×県の戸籍は取れますか?」と尋ねる声が聞こえてきました。職員の方は申し訳なさそうに、ここでは取れないんですよ、といいながら「田舎にはご親戚の方はいらっしゃる?」と続けていました。
頼める人がいない時は、直接役所に郵送で請求することができます。これは意外と知らない方が多いようです。ちなみに住民票は、本人であればどこでも取れます。(但し、住基ネットに参加していることが条件ですが)
TOPへ
 2004.5.19 (水) 名前を変えたい - 改名 -

名前は赤ちゃんが親からもらう最初のプレゼントです。しかし長い人生、様々な都合から変えたくなることもありますね。戸籍法には、
正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て・・・と規定してあります。
婚姻したら同姓同名の人が近所にいた、永年使用した通称名である、といった理由ですと許可が出るようです。また最近では、性同一性障害を理由に改名の申立てをし、認められる例もあるようです。 → I divide me
TOPへ
 2004.5.17 (月) 名前を変えたい - 改姓 -

読み方も難しいし、字数も多くて書きづらい・・・名字(上の名前ですね)に対して、そんな思いがあっても、名字はなかなか変えることができません。
戸籍法には、
やむを得ない事由によって氏を変更するときは・・家庭裁判所の許可を得て・・・と規定してありますが、ほとんど不可能なようです。
しかし、離婚したのだが婚姻中の姓をそのまま使用していた・・・やはり旧姓に戻したいとか、実の親子で同じ姓を使いたい(子の氏を父または母の氏に変更する許可の申立)といった場合は認められます。 
TOPへ
 2004.5.11 (火) 入籍します!

「私、明日入籍します〜」と聞くと幸せな気分が伝わってきそうです。もちろんこのカップルが出すのは、
婚姻届 です。永遠の愛さえあれば、お役所の許可などいりません。しかし、戸籍の届け出では 入籍届 というものもあります。文字通り、戸籍に入るだけの届け出です。例えば、離婚したご夫婦が子どもの姓を変更する時などに使います。こちらは、家庭裁判所の許可が必要です。
TOPへ
 2004.5.06 (木) 戸籍の筆頭者

戸籍の筆頭者というと何かえらそうですが、実務では見出しに過ぎません。と、書くと、何だその程度〜と思われるかもしれませんが、「見出し」ですから、ご本人が亡くなった後も「見出し」としての役割は残ります。住民票の「世帯主」と違って、途中で誰かに代わることはできませんので、ご結婚などで新しく戸籍を作られる方はご注意下さいね。
TOPへ
 2004.4.22 (木) 委任契約



任意後見契約を結んでも、実際に効力が発生する (代理人として動いてもらえる) のは先のことです。
その間、自分ができない時にだけ、ちょっとお手伝いしてもらいたいということもあるはず。
任意後見契約と同時に、この委任契約を結んでおくと、体の具合が悪かったりして自分でできない時、簡単に代理人をお願いすることができます。
TOPへ
 2004.4.17 (土) 公正証書による委任契約

判断能力が衰えた時に有効になるのが、任意後見契約ですが、年齢を重ねることによって、判断能力に問題がなくても、目や耳が悪くなったり足腰が弱くなったりして、外出することもままならなくなることもあるでしょう。そのような場合を考えて、任意後見受任者との間で、公正証書による委任契約を結んでおかれることをお勧めします。療養看護や財産の管理を、必要な時に、代わりにやってもらうことができます。任意後見契約と違って委任契約は、契約が成立したその日から、代理人として動いてもらうことができます。
TOPへ
 2004.4.8 (木) 任意後見契約

この契約は、将来のことをお願いするものですから、契約を結んだからといって、即、任意後見受任者に任意後見人としての仕事をお願いできるものではありません。
自分で判断することが困難になったと感じた時、家庭裁判所に、任意後見監督人の選任の申し立てをします。その後、任意後見受任者は、任意後見人としての仕事をすることになります。
本人が申し立てできない場合は、配偶者や四親等内の親族、任意後見受任者が申し立てることができます。
TOPへ
 2004.3.26 (金) 任意後見契約

任意後見契約は、公正証書で作成しなければなりません。この契約は法律に基づくものですから、厳格な手続きが必要とされています。口約束だけでは成立しませんのでご注意下さい。誰を後見人にするか、自分に代わってどんな内容の仕事をしてもらうのか、後見人への報酬、などを決定したうえで、公証役場で公正証書を作成します。
TOPへ
 2004.3.25 (木) 任意後見契約

年をとると自分で正常な判断することが困難になる場合があります。そのような時のために、日常のお金の出し入れ、医療契約、福祉サービス利用契約、不動産の管理、預貯金の管理などの一定の仕事を、自分に代わってやってくれる人(これを任意後見人といいます)を定めて、依頼する契約を任意後見契約といいます。
自分で判断できるうちに、信頼のおける人に、「もし、私が正常な判断ができなくなったら、これとこの仕事を私に代わってやって下さいね。」と依頼する契約です。
TOPへ
 2004.3.17 (水) 損害賠償の請求

損害賠償の請求のための内容証明の依頼を受けながらも、相手は応じないだろうな・・と思うこともあります。ダメでもいいから、という依頼者の強い気持ちがあると出してみるのですが、意外やこれをきっかけに話し合いが進んだりします。諦めないで伝えてみる、という姿勢は大事ですね。振り上げたゲンコツのおろし場所を探しているのは、相手も同じです。お互いに相手の気持ちをくみ取って円満解決できるといいですね。
TOPへ
 2004.2.23 (月) トレーサビリティシステムの導入

BSE(狂牛病)の発生や食品の偽装表示事件等をきっかけに、食品のトレーサビリティ(トレサビ)が注目されています。食品の生産・加工・流通等の各過程の履歴を明らかにすることにより、責任のある生産と、消費者への安心を与えるものとなります。
農林水産省ではこのシステムを導入しようとする事業者に対し、その費用の一部を補助する事業を行っています。http://www.maff.go.jp/trace/top.htm
TOPへ
 2004.2.10 (火) 損害賠償の請求

損害賠償を請求するためには相手に、債務不履行責任(契約での約束違反)か不法行為責任(不注意でケガをさせた等)が認められる必要があります。
ただ単に相手を懲らしめたい、という気持ちだけでは損害賠償の請求・慰謝料の請求はできませんので、何を根拠に損害賠償の請求ができるのか、まず考える必要があります。
TOPへ
 2004.1.28 (水) 契約の解除

ネットオークションで商品を注文したが、相手がなかなか商品を引き渡さないといった場合、期限を区切って相手に引渡しの催促をしましょう。それでも引き渡しがない場合は、民法の規定により契約を解除することができます。いきなり解除することは、相手が応じないかぎりできませんのでご注意ください。
TOPへ
 2004.1.17 (土) 中高年の起業家

昨夜のNHKの番組で、40代、50代で起業する人が増加しているという話題がありました。働くことが家族のためという大義名分がなくなった人、リストラの不安から起業しようとする人、皆さん自らの経験を活かして再出発です。やる気があれば、若い人には負けない智恵や経験がたくさんあるはず。立ち上げた事業を軌道に乗せていくことは大変な困難も伴うでしょうが、成功した時の喜びは大きい!私はまだ会社設立の仕事はお受けしたことはありませんが、応援したくなりました。  
TOPへ
 2004.1.15 (木) 老後に必要なもの 
 
高齢者を対象とした練馬区の調査によると、老後を楽しく生きていくために必要なものとして、自分や家族の健康、家族の愛情、趣味・生きがい・・・となっています。
また男女別では、女性は男性に比べて、何でも相談できる友人・知人、保健福祉などの社会的援助、隣近所の助け合い、といった傾向が強いようです。
区内には1万人余りの、高齢一人暮しの女性がいます。支えあえる仕組みが欲しいと思いました。  
TOPへ
 2004.1.10 (土) 20歳になったら国民年金 
 
現在の年金制度では、20歳になったら国民年金に加入しなければならないことになっています。その通知は「20歳のお誕生日おめでとう!」より少し前にやってきます。もし、20歳になった方が学生で、ご本人の所得が年間68万円以下の場合、保険料の納付が猶予される納付特例という制度がありますので、忘れずに手続してください。手続をしておけば、万が一事故などで障害が残った場合に障害年金が支給されます。手続をしないと国民年金に未加入ということになり、この年金も支給されません。
TOPへ
 2004.1.9 (金) 思い出に 

結婚したら婚姻届。赤ちゃんが生まれたら出生届。こういった書類は役所に提出してしまうと、もう二度と見ることはできません。そこで、提出する前にカラーコピーして取っておくことをお薦めします。二人の思い出にもなりますし、お子様への愛情いっぱいのプレゼントにもなることでしょう。赤ちゃんの写真や手形・足形と並べてアルバムにしても素敵かもしれませんね。   
TOPへ
 2004.1.8 (木) 孤独 

用事があったわけではないが、元日の夕暮れ時に外出した。人口70万人近い練馬区でも元日の夕方は人影もまばらである。普段と違う町の風景の中で、一人歩きの老人の姿が目立った。もし私の両親が健在であるならば、正月に帰省しない親不孝を詫びただろう。隣近所との付合いが希薄な地域での生活は気がラクではあるが、孤独の寂しさもある。何かできることがないだろうか。
TOPへ
 2004.1.1 (木) 迎 春 

あけましておめでとうございます。
頑張っている人は必ず、自分の目標を持っています。小さい目標は自分を小さくするそうです。果敢に挑戦する勇気をもたなきゃ・・・ん?目標を忘れないようにしなきゃ・・かな。
本年もどうぞよろしくお願いします。
TOPへ
2003年12月以前の記事はこちら
TOPへ戻る

黒田行政書士事務所